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» 2012年12月13日 16時03分 UPDATE

京セラ 温度特性フリーエタロンフィルタ:光通信向けエタロンフィルタ、波長変動は従来比1/36の±0.15pm/℃

京セラのエタロンフィルタは、ある素材と水晶を接合することで、±0.15pm(ピコメートル)/℃の温度特性を実現している。この温度特性は、水晶のみを使用した同社従来品に比べて、約1/36の値になる。さらに、素材と水晶の接合に、原子拡散接合法と呼ばれる新しい方法を採用しており、これによってエタロンフィルタの信頼性が向上したという。

[村尾麻悠子,EDN Japan]

 京セラは2012年12月、温度特性を高めたエタロンフィルタ「温度特性フリーエタロンフィルタ」を製品化したと発表した。光通信用の波長可変レーザーモジュールを主な用途とする光学フィルタである。水晶と水晶以外の素材を組み合わせて温度特性を向上させたことと、素材の接合に原子拡散接合法を採用して接合強度を向上させたことが特長だ。なお、ここでいう温度特性とは、温度が1℃変化したときの透過波長の変動幅を指す。


mm121212_kyocera_fig0.jpg 「温度特性フリーエタロンフィルタ」は、外形寸法が1.2×1.2mm。

 エタロンフィルタは、狭帯域の波長フィルタである。光通信向けの波長可変レーザーモジュールなどに搭載される部品で、光源の光の波長が所定の範囲に収まっていることをモニタリングする。ただし、エタロンフィルタは温度が変化すると透過する光の波長が変動するので、光源の波長の変動を正確にモニタリングできなくなってしまう。このため、従来は、エタロンフィルタ周辺の温度変化を抑えるペルチェ素子もモジュールに組み込む必要があった。

 新製品では、水晶と、水晶以外の素材の結晶を接合することで、温度特性を向上させた。水晶は、温度が上がると長波長の方向に波長がずれる「正の温度特性」を持つ。そこで、温度が上がると短波長の方向に透過波長がずれる「負の温度特性」を持つ結晶を用意し、それを水晶と接合することで波長のずれを相殺、温度が変化したときの波長のずれを最小限に抑えたという。これにより、温度特性フリーエタロンフィルタでは、温度特性が同社従来品に比べて向上した。水晶のみを利用している京セラの従来品の温度特性は+5.4pm/℃である。一方、今回の新製品では±0.15pm/℃を実現した。なお、この負の温度特性を持つ素材については、「詳細を明かせない」(京セラ)としている。

mm121212_kyocera_fig1.jpg 「正の温度特性」を持つ水晶と、「負の温度特性」を持つ結晶を組み合わせることで、波長のずれを相殺する。 出典:京セラ

 また、波長の変動が小さいため、ペルチェ素子が不要になり、波長可変レーザーモジュールの小型化につながる。

mm121212_kyocera_fig2.jpg 新製品を使うことで、大きな面積を占めていたペルチェ素子が不要になる。 出典:京セラ

「原子拡散接合法」を採用

 水晶と他の結晶を接合する技術も、新しい方法を取り入れた。それが、原子拡散接合法である。「原子は不安定なので、原子同士で結合しやすい」という原子の性質を利用したもので、金属原子でスパッタしたウエハーを2枚合わせると、上記の原子の性質から、ウエハー同士が接合されるというもの。水晶ウエハーなどの接合には有機系接着剤を用いる場合もあるが、この場合、接合部分が厚くなったり、温度により膨張/収縮したりするといった問題があった。原子拡散接合法は接着剤が不要なので、こういった課題を解決できる。

 接着剤を使わない接合方法には、ウエハーの表面張力を利用するオプティカルコンタクトというものもあるが、原子拡散接合法の方が、5倍以上の接合強度を実現できるという。

mm121212_kyocera_fig3.jpg 原子拡散接合法のイメージ。同技術は、東北大学によって開発されたものである。 出典:京セラ
mm121212_kyocera_fig4.jpg オプティカルコンタクトに比べて、原子拡散接合は、接合強度が強いという。有機系接着剤と比較しても、接合部分の厚みや、熱による影響といった点でメリットを持つ。 出典:京セラ

 温度特性フリーエタロンフィルタは、2013年1月よりサンプル出荷を開始し、同年春以降の量産出荷を目指す。販売価格は要問い合わせだが、水晶以外の素材も使用している分、京セラの従来品よりは高くなるとしている。


※訂正あり:当初の記事では、「波長変動は従来比1/50」としていましたが、正しくは「1/36」です。お詫びして訂正致します。

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