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» 2013年01月11日 16時13分 UPDATE

Design Ideas パワー関連と電源:昇圧型レギュレーターに降圧動作を追加する

SEPICレギュレータには、変換効率や磁性部品の点で欠点がある。そこで、SEPICレギュレータの代わりとして使える回路を提案する。

[Tom Gross,Linear Technology]

 SEPIC*1)構成の電圧レギュレーターは、一般に入力電圧範囲の中間電圧を出力するような用途には適していると言えよう。例えば、入力電圧範囲が2.7V〜6Vで、出力電圧が5Vのような場合である。しかし欠点もある。1つは、変換効率が降圧型や昇圧型のレギュレーターよりも低いこと。もう1つは、大きくて複雑な磁性部品を必要とするため、回路設計が複雑になることである。

*1)SEPICはsingle-ended, primary inductance converterの略でDC-DCコンバーターの回路構成の1つ。入力電圧が変化して、出力電圧よりも高くなっても、低くなっても、一定の電圧を出力できる。セピックと発音する。

mm_dia88_fig1.jpg 図1 リニア/昇圧型レギュレーター回路
SEPIC構成のレギュレーターの代わりに使うことができる。入力電圧が出力電圧よりも低ければ昇圧型レギュレーター、高ければリニア・レギュレーターとして動作する。(クリックで拡大)

 図1に、SEPICレギュレーターの代わりとして使える回路を示した。回路構成は簡単で、変換効率が高い。この回路は、入力電圧が出力電圧よりも低いときは昇圧型レギュレーターとして動作する。IC1のSW端子がイネーブルで、ブースター・ダイオードD1に逆バイアスがかかっている状態では、インダクターL1はエネルギーを蓄える。すなわちD1がオフの期間中は、出力コンデンサーC1が負荷電流を供給することになる。IC1のSW端子がディセーブルに変わると、L1の極性が反転し、D1には順バイアスがかかる。この結果、L1はC1を充電すると同時に、負荷電流を供給し始める。出力電圧は、インダクター電圧に入力電圧を加算した値となる。

 入力電圧が出力電圧と同じか、それ以上になると、リニア・レギュレーターとして機能する。IC1に内蔵した低電圧検出比較器は、通常は電池電圧を監視する用途に使う。しかしここでは、LBIピンに入力される出力電圧の監視に使用した。この比較器の出力LBOが低レベルになると、シンク電流が発生する。この動作が起こると、pチャンネルFETであるQ1がオンして、出力に対して低インピーダンスの電流パスが形成される。このとき比較器出力は、高インピーダンス状態にある。Q1のゲート電圧は、220kΩの抵抗R1によってプルアップされ、Q1はオフになる。すると出力電圧は降下し、ある値に達すると比較器の出力が再度低レベルに変化してシンク電流を発生させる。従って、出力電流は再び上昇し始めるというサイクルを繰り返す。すなわち回路はリニア・レギュレーターとして動作し、Q1はパス・トランジスタとして働く。

 この回路は、従来の昇圧型レギュレーターとは違い、入力と出力の間の電流パスを切断できる。この切断を行うシャットダウン信号は、pチャンネルFETであるQ2のゲートに論理レベルで接続されており、さらにIC1のシャットダウン・ピン(SD)にもつながっている。シャットダウン信号が低レベルに移行すると、IC1はオフに、Q1はオンに変化する。すると100Ωの抵抗R2を介して、入力電圧がQ1のゲートに供給され、Q1はオフになる。こうして入力と出力の電流パスを切断する。

 今回提案したリニア/昇圧型レギュレーターの変換効率が、動作モードによってどのように変化するかを示したのが図2である。入力電圧が出力電圧よりも低いときは、一般的な昇圧型レギュレーターと同等である。入力電圧が出力電圧を超えると、この回路はリニア・レギュレーターとして機能し、その変換効率はおよそVOUT/VINになる。

mm_dia88_fig2.jpg 図2 入力電圧による変換効率の変化
図1に示した回路の変換効率を、入力電圧をパラメーターとしてプロットした。変換効率は、昇圧型レギュレーターとして動作するか、リニア・レギュレーターとして動作するかで決まる。

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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