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» 2013年02月28日 08時00分 UPDATE

TI InstaSPIN-FOC:センサーレス3相モーターの動作最適化を5分で完了、「Piccoloマイコン」が実現

これまで、センサーレス3相モーターのシステム同定や制御調整といった動作最適化作業には、数週間〜数カ月を要していた。しかし、日本TIが新たに開発した「InstaSPIN-FOC」技術を組み込んだ「Piccoloマイコン」を用いれば、この作業を5分以内で完了できるという。

[馬本隆綱,EDN Japan]
「DRV8312-69M-KIT」の外観

 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2013年2月27日、センサーレス3相モーターのシステム同定や制御調整といった動作最適化作業を5分以内で完了できる「InstaSPIN-FOC(Field Oriented Control)」技術を発表した。この技術により、モーターの駆動に必要な電圧値と電流値を入力すれば、これまで数週間〜数カ月の期間が必要だったモーターの動作最適化作業のほとんどを自動化できる。日本TIは、InstaSPIN-FOC技術を使って動作を最適化したモーターの動作を制御するソフトウェアIP(Intellectual Property)を、32ビットマイコン「Piccoloファミリ」のマスクROM領域に組み込んだ「F2806xF」や、モーター制御開発キットの供給を始めている。空調機器のコンプレッサやファン回転用モーター、洗濯機のダイレクトドライブモーター、バッテリーフォークリフトの走行用モーターなどを制御する用途に向ける。

世界のエネルギー消費の約45%を占めるモーター

 モーターはさまざまな用途に用いられており、全世界で年間110億個の市場規模となっている。ところが、消費するエネルギー量も大きく、世界全体で消費されるエネルギーの約45%をモーターが占めているとも言われている。このために、省エネ化への取り組みが急がれており、ブラシ付きモーターから、よりエネルギー効率のよいブラシレスモーターへ移行しつつある。さらに、部品点数を削減することでコストダウンが可能となるセンサーレスタイプのモーターも注目されている。ところが、センサーレスの3相モーターを最適に動作させるには、より高度な専門知識が必要になるので、システム設計者に掛かる負担も大きくなっていた。

 InstaSPIN-FOCの機能は主に3つ。「モーターのシステム同定を行う機能」、「モーターを制御する(動作させる)機能」、「交流誘導(ACI:AC Induction)モーターを省エネモードで駆動する機能」である。

tm_130227ti_instaSPIN-FOC.jpg 「F2806xF」のマスクROM領域に組み込まれたInstaSPIN-FOCのブロック図(クリックで画像を拡大)

 InstaSPIN-FOCの中で、これまでのモーターで使われてきた機械式回転センサーの機能を置き換えるのが「FAST(Flux、Angle、Speed、Torque)」と呼ばれるソフトウェアエンコーダである。FASTは、モーターを駆動するために印加される電圧や電流の値を読み取り、「磁束(Flux)」や「角度(Angle)」、「速度(Speed)」「トルク(Torque)」の4つのパラメータを確定する機能を備えている。しかも、機械式回転センサーと同等レベルの性能を実現しているという。この機能は、同期型のブラシレス直流(BLDC:Brushless Direct Current)モーター、表面磁石型(SPM:Surface Permanent Magnet)モーター、埋め込み磁石型(IPM:Interior Permanent Magnet)モーター、および非同期型のACIモーターといった全ての3相モーターに対応している。

低電圧/小電流モーター向けの制御キット「DRV8312-69M-KIT」の外観 低電圧/小電流モーター向けの制御キット「DRV8312-69M-KIT」の外観

 InstaSPIN-FOCの機能を組み込んだF2806xFは、動作周波数が90MHzで、現在出荷中である。1万個購入時の参考単価は6.12米ドルから。今後は、InstaSPIN-FOC機能を組み込んだPiccoloファミリの製品ラインアップをさらに拡充していく計画である。

 F2806xFを実装したコントロールカードと、モータードライバを組み合わせたモーター制御キットの供給も始めている。同キットは制御対象となるモーターの特性によって3種類を用意した。低電圧/小電流モーター向けの「DRV8312-69M-KIT」、低電圧/大電流モーター向けの「DRV8301-69M-KIT」、高電圧モーター向けの「TMDSHVMTRINSPIN」がある。参考価格は、DRV8312-69M-KITとDRV8301-69M-KITがそれぞれ299米ドル、TMDSHVMTRINSPINは699米ドルである。

 なお、既存の日本TIのモーター制御開発キットと、InstaSPIN-FOCのモーター制御キットは共通のモータードライバを使用している。このため、F2806xFを実装したコントロールカード「TMDSCNCD28069MISO」のみの販売も行っている。参考価格は99米ドルである。

 日本TIは2012年9月に、モーター向けソリューションの第1弾として「InstaSPIN-BLDC」を発表している。台形波で駆動するモーターを対象としたInstaSPIN-BLDCは、逆起電力方式を採用しており、モーターのパラメータに関する十分な知識がなくても、さまざまなモーターを制御し、3相BLDCモーターを数分で仕様通りに駆動させることができる。第2弾となる今回のInstaSPIN-FOCは、正弦波で駆動させるモーター向けの技術となる。

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