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» 2013年04月05日 00時00分 UPDATE

【講座】回路設計の新潮流を基礎から学ぶ:「内部デジタル化で調光コントローラICを小型化」さらに使いやすく進化しているLED照明

[PR/EDN Japan]
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 LED照明は省電力、長寿命が大きな特長だが、位相調光器への対応など性能や使いやすさでも進化を続けている。最新のLED照明コントローラICでは、内部の調光制御回路をデジタル化することによって、大幅なサイズ削減と位相調光性能の向上を実現している。

 従来の照明器具では、簡単な回路で広範囲に光量を制御できる位相調光方式の調光器が広く用いられている。この位相調光はもともと抵抗負荷の性質をもつ白熱電球向けの方式であり、LED照明や蛍光灯はそのままでは使用できない。また、調光器も白熱電球を負荷として設計されており、負荷の性質が異なると正常に動作しない。

 白熱電球の置き換え用としてLED電球や電球型蛍光灯が普及している。調光器付きの照明器具の場合には、特に位相調光対応に作られたLED電球や電球型蛍光灯を用いる必要がある。LED電球では、最近は位相調光対応の製品が増えており、位相調光対応のLED照明コントローラICの改良も進められている。一方、蛍光灯は放電発光の原理から調光可能な範囲が狭いこともあって、位相調光対応の電球型蛍光灯は普及していない。

 交換用電球のマーケットだけでなく、新規取り付け用の照明器具でも位相調光方式とLED照明の組み合わせは利点があり、位相調光対応のLED照明コントローラICの需要が高まると考えられている。

位相調光の原理と特長 〜照明器具向けには利点が多い

mm130403ti_analog01.jpg 図1 位相調光の波形

 位相調光は、交流電源のサイクルごとのオン期間(導通角)を制御することで、負荷に供給する平均電力を連続的に可変する方式だ(図1)。

 この制御はトライアックとオン遅延タイマを用いた簡単な回路で実現でき、効率もそれほど悪くない。トライアックのかわりに、IGBTとオフ遅延タイマを用いた逆位相の調光回路もある。白熱電球をはじめヒーターやモーターなどの単純な負荷を手軽に制御できる。以前は照明に限らず各種の家電製品で用いられていた。最近では、照明以外の用途では制御応答が高速なPWM方式(インバータ方式)に置き換えられることが多い。

 照明用途で位相調光が広く用いられているのは、いくつかの理由がある。まず、照明用途では光量はゆるやかに変化させれば良いので、高速な制御応答は必要ない。さらに、従来の照明器具の配線方式を変更しなくてすむ利点が大きい。

 天井付けの照明器具の場合、壁の操作スイッチと照明器具本体が離れており、その間は通常の電源配線で接続する。位相調光は、操作スイッチに小型の調光器を組み込むだけで良く、配線を変更したり追加したりする必要がない(図2)。

mm130403ti_analog02a.jpg 図2 位相調光の配線方法
(a)調光を使用しない照明器具の配線
mm130403ti_analog02b.jpg (b)位相調光を行う照明器具の配線

 インバータ制御の蛍光灯は、放電パルスの幅をPWM制御することによって、容易に連続調光ができる(PWM調光と呼ばれる)。ただし、調光範囲には制限があり、0%までの減光はできない。また、照明器具側で制御を行う必要があるため、操作スイッチから照明器具に調光制御の情報を伝えなければならない。

 電気スタンドのように操作スイッチと一体化した照明器具なら良いが、天井付けの場合は電源と別に信号線を引くか、リモコンで無線操作することになる(図3)。LED照明器具でもPWM調光を採用するものもある。

mm130403ti_analog03a.jpg 図3 PWM調光の配線方法の例
(a)信号配線を追加してPWM調光を行う例
mm130403ti_analog03b.jpg (b)照明器具側のPWM調光機能を、リモコンで無線操作する例

 位相調光は蛍光灯と相性が悪い難点があるが、蛍光灯は調光範囲に制限があり、配線方法にも問題がある。また、調光のニーズが高いリビング照明や寝室照明、ダウンライト、店舗照明などの用途では白熱電球の雰囲気が好まれることから、照明用途では位相調光が広く用いられている。

LED照明の位相調光器への対応 〜負荷電流を流すことと、導通角の検出

 LEDは交流電源では直接点灯できないため、LED照明にはスイッチング方式のAC-DC定電流駆動回路が用いられることが多い。位相調光対応でないLED照明は、入力電力が変化しても一定の光量を保つように作られているため、位相調光を行っても光量が変化しないだけでなく、入力電力が低下すると正しく動作できない場合がある。

 さらに、調光器に使われているトライアックはトリガ入力によってオンになり、負荷電流が0になるとオフになる性質をもっている。白熱電球のような抵抗負荷なら、各サイクルの終わりに電流0になって自動的にオフになるので、簡単な回路で位相調光を実現できる。しかし、サイクルの途中で電流0になるような負荷では、誤動作して正常に点灯できないだけでなく、調光器や照明器具の故障を招く場合がある。

 LED照明を位相調光対応にするためには、まず調光器の誤動作を防ぐために必要な負荷電流を流すことが必要だ。その上で、交流波形の導通角を検出して、それに応じて光量を変化させる調光制御回路が必要になる。すなわち、位相制御を電力制御のために用いるのではなく、調光制御の情報として利用する。

 この機能を内蔵するLED照明コントローラICとして、2009年にナショナル セミコンダクター(現在テキサス・インスツルメンツ)のLM3445が登場した。その後、位相調光対応のLED電球が次々に製品化されるようになり、コントローラICのラインナップも拡大していった(表1)。

表1 TI(テキサス・インスツルメンツ)の位相調光対応LED照明コントローラ
  一次制御 PFC 絶縁/非絶縁 MOSFET <5W 5-10W 10-25W 25-50W+
LM3448   両用 600V    
LM3447 絶縁      
TPS92070     両用      
LM3445   両用    
LM3450   両用      

 LM3445は、位相調光の導通角に比例したアナログ電圧を生成し、PWM信号に変換してLEDの駆動電流を定電流制御する。また、負荷電流が0にならないように、外付けのパッシブPFCと内蔵のブリーダ抵抗を制御して、調光器およびコンバータの誤動作を防いでいる。調光制御はすべてアナログ方式で、部品点数はやや多いが調整の自由度が高い。トライアック調光器だけでなく、逆位相の調光器にも対応できる。

mm130403ti_analog04.jpg 図4 LM3445の概要

 さらに、外部入力のアナログ電圧信号や、外部入力のPWM信号によるLED光量の制御など、位相制御以外の方法でLEDの光量を制御することもできる。汎用性が高い多機能の調光制御ICとなっている(図4)。

 LM3445は外部のPWM入力信号でLEDの光量を制御できるが、LEDの駆動には定電流方式を採用し、定電流の値を変化させることで調光を行っている。これはアナログ調光の一種であり、PWM調光とは異なるものだ。

 LED照明のPWM調光は、電流値は一定のパルス電流でLEDを駆動し、パルスの幅を制御することによって調光を行う方式である(図5)。パルス放電の幅を制御して調光する蛍光灯のPWM調光と同様の方式である。

mm130403ti_analog05a.jpg 図5 PWM調光と定電流方式のアナログ調光
(a)PWM調光
mm130403ti_analog05b.jpg (b)定電流方式のアナログ調光

 蛍光灯や白熱電球は、点灯、消灯の応答が低速なので、PWM調光を行ってもちらつきは目立ちにくい。LEDは応答がきわめて高速なため、PWM調光を行うとちらつきを感じる場合がある。さらに、カメラなどで撮影したときに、点滅が分かってしまうこともある。

 一方、LED照明に使われる白色LEDは、駆動電流が変化すると色温度が変化しやすい性質がある。PWM調光は電流値が一定なので、色温度が変化しない利点がある。

 定電流方式のアナログ調光は、駆動電流の変化によって色温度が変化するという問題があるが、ちらつきのない高品位の調光を実現できる。LM3445では、PWM入力またはアナログ入力信号を内部で演算してコンスタント・オフタイム方式によるピーク電流制御を行い、LEDにはその平均電流が供給されるように動作する。

内部制御のデジタル化で進化した最新のLED照明コントローラIC

 TIのTPS92075は、内部制御のデジタル化によって大幅なサイズ削減と調光性能の向上を実現した最新のLED照明コントローラICだ。駆動方法は、LM3445と同様にちらつきの少ない定電流方式のコンスタント・オフタイム方式を採用している。

mm130403ti_analog06.jpg 図6 TPS92075のブロック図

 位相調光波形をサンプリングして導通角をデジタル値として検出し、この基準電圧を用いて、コンスタント・オフタイム方式によりLED電流を定電流制御する。さまざまな補償をデジタル的に行うので、外付けのアナログ回路を大幅に減らせるとともに、ICのピン数もわずか6ピンに抑えた(図6)。LED電球のように小型化の要求が厳しい用途には最適だと言える。

 さらに、力率改善の効果が高く、ブリーダ抵抗を不要にして消費電流も低減している。トライアック調光器だけでなく、逆位相の調光器にも対応できる。位相制御のアンバランスを補償して調光時のLEDのちらつきを防止するなど、多くの特長をもつ。位相制御を行わない通常の交流電源で使用しても、PFCとして力率改善の効果が期待できる。

mm130403ti_analog07.jpg 図7 TPS92075のアプリケーション例

 5〜30WのLED照明に適し、非絶縁型の降圧制御(Buck)と昇降圧制御(Buck-Boost)に対応する(図7)。

 外付け回路を減らしたことで、アプリケーション設計もさらに容易になった。TPS92075を用いることで、位相調光対応のLED電球や照明器具を短時間で開発可能だ。


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月31日

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