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パワーエレクトロニクス最前線 特集

パワー半導体の基礎知識「超入門」いまさら聞けない半導体技術(3/4 ページ)

» 2013年07月16日 12時30分 公開
[竹本達哉EDN Japan]

パワー半導体の提供形態

 パワー半導体の提供方法もいくつかの種類がある。最も単純な提供形態は、1つのトランジスタや1つのダイオードなど、1つの半導体素子だけをパッケージング(チップに基板実装用の接続端子などを付けて樹脂で封止)した「ディスクリート」での提供だ。

 ディスクリートとは、個別半導体とも訳され、1つの半導体素子で構成するチップのことを指す。なお、複数の半導体素子を1つのチップに搭載したものがIC/集積回路で、より集積規模が大きいものはLSIと呼ばれる。

 ディスクリートでの提供で始まったパワー半導体はその後、複数のディスクリートチップを組み合わせてパッケージングされた「モジュール」が登場する。3相モーター制御では、6つのパワートランジスタとダイオードの組み合わせが必要になるなど、用途に応じて決まった複数個のパワー半導体を使う必要があり、パワー半導体を使う側がディスクリートをわざわざ接続しなくても済むため、モジュールが普及してきた。

画像はイメージです

 さらに、このモジュールに、パワー半導体に対しオン/オフの指示を与える制御ICやパワー半導体の異常を検知するなどし安全を保つ保護ICなどを加えた「IPM」(インテリジェントパワーモジュール)なども登場している。

パワー半導体の今後

 パワー半導体は、大きな電力をより細かに、より効率的に制御する方向性で進化を続け、既に、数千V、数千Aという大電力を扱えるようになった。今後は、スイッチング周波数を高めてさらに細かな制御を効率的に行うための開発がより活発化していくことになる。

 実はパワー半導体は、スイッチング動作を行うための電力消費に加え、電力を流した際に一部の電力が熱として逃げてしまうなどの電力損失が発生する。

 これまでも、電力を無駄にするこの電力損失を抑えるため、デバイスの構造を見直すなどして損失低減を図ってきた。しかし、昨今では物理的な限界が近づきつつあり、大きな損失改善が見込みにくい状況になっている。

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