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» 2013年10月01日 00時00分 UPDATE

【講座】回路設計の新潮流を基礎から学ぶ:まったく新しいジャンルのデータ・コンバータが登場、高分解能の非接触近接センサが実現可能に

[PR/EDN Japan]
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 現在、半導体チップには、さまざまなデータ・コンバータが存在する。代表的なものとしては、アナログ値をデジタル値に変換するA/Dコンバータ、デジタル値をアナログ値に変換するD/Aコンバータ、電圧値を周波数に変換するV/Fコンバータ、レゾルバの出力値をデジタル値に変換するR/Dコンバータなどがある。いずれも、電子機器において重要な役割を担っており、なくてはならない存在になっている。

 このデータ・コンバータに新しい仲間が加わった。テキサス・インスツルメンツ(TI)が製品化した、インダクタンス値をデジタル値に変換するデータ・コンバータ「LDC1000」がそれだ(図1)。同社によると、「まったく新しいジャンルのデータ・コンバータである。10〜15年ぶりにデータ・コンバータに新しいジャンルが加わった」という。

mm131001_ti_lecture_fig1.jpg 図1 インダクタンスをデジタル値に変換するデータ・コンバータ
テキサス・インスツルメンツ(TI)が発売した「LDC1000」である。プリント基板(PCB)などに作り込んだPCBコイルを駆動して磁界を作り、そこにターゲットが入り込むとインダクタンスが変化する。その変化量をデジタル値に変換して出力する。

小型化と低コスト化に加えて、高分解能化が可能

 主な用途は、近接センサや変位センサである。プリント基板(PCB)に作り込んだコイル(PCBコイル)などと組み合わせて使用する。

 LDC1000を使ってPCBコイルを駆動すると、その周辺に磁界が発生する。その磁界の中に導体/金属が入り込むと、電磁誘導の原理によって導体・金属表面に渦電流が発生し、インダクタンスが変化する。この変化量を電圧の変化として読み取ることで、導体/金属が近接したことの検出や、導体/金属の移動量の測定、歯車の回転量のカウントなどを実行するわけだ。

 導体や金属に発生する渦電流を利用した近接センサについては、すでにファクトリ・オートメーション(FA)機器の分野で実用化されている。リミット・スイッチやマイクロ・スイッチなどの接触型センサの代替製品という位置付けである。今回のLDC1000は、こうした既存の近接センサに比べてセンサを大幅に小型化できる点が最大の特長である。ICパッケージの実装面積はわずか4mm×5mmにすぎない。従来は、ディスクリート部品を組み合わせて実現する必要があったため、小型化が求められる電子機器への適用は困難だった。

 特長はまだある。ここでは4つの特長を紹介する。1つめは、導体や金属の近接や変位を非接触で検出できるため、摩耗が発生しないことである。従って、経年劣化がほとんどない。2つめは、磁界を利用して導体や金属の近接の検出が可能になるため、ホコリや湿気などが多い劣悪な環境でも問題なく使える。工場の中や自動車の内部にも適用することが可能だ。

 3つめは、代表的な磁気センサであるホール効果センサとは異なり、温度依存性がほとんどないことだ。しかも、磁石を使用する必要がなく、センサとしてはPCBコイルだけで済むため、コストを削減できる。4つめは、分解能がサブミクロン・オーダーと極めて高いことである(図2)。このため高精度な変位量測定が求められるアプリケーションにも提供できる。検出できる最大の距離については、PCBコイルの直径の半分になる。つまり、直径が14mmならば、検出できる距離は7mmまでとなる。

 TIでは、こうした特長を生かして、産業機器や車載機器、コンシューマ機器、医療機器、携帯型電子機器などへの適用を狙うとしている。「すでに、さまざまな機器分野のユーザーにLDC1000を紹介しており、多くの企業から採用を検討したいとの声が掛かっている」(同社)という。

mm131001_ti_lecture_fig2.jpg 図2 サブミクロンの分解能を実現

インピーダンスとインダクタンスの変化を検出

 それでは検出原理について、もう少し詳しく解説しよう。

 LDC1000には、発振回路が集積されており、これを使ってPCBコイルを駆動する。PCBコイルは等価的に、インダクタ(L)とコンデンサ(C)からなるLCタンク回路を構成している。発振回路は、このLCタンク回路の共振周波数に相当する高周波電流を供給する。こうしたPCBコイルを駆動する。駆動電流の周波数は5k〜5MHzの範囲で設定できる。電圧振幅は1Vpp、2Vpp、4Vppの中から選べる。

 共振状態に入ったPCBコイルからは、高周波磁束が発生する。つまり、PCBコイルの周囲には、高周波磁界が形成される。そこに導体、もしくは金属からなる検出ターゲットが入り込むと、導体/金属の表面に渦電流が発生する。この結果、PCBコイルがトランスの1次巻線、渦電流が2次巻線として機能するようになり、両者は磁気的に結合する。この磁気結合の程度は、PCBコイルと検出ターゲットの距離や、それらの形状によって決まる。さらに、導体/金属の表面に渦電流が流れれば、抵抗成分によって電力損失が発生する(渦電流損)。

 従って、PCBコイルに検出ターゲットが近づけば、LDC1000から見たPCBコイル(検出ターゲットを含む)のインダクタンスとインピーダンスが変化するわけだ。インピーダンスの変化は共振電圧の変化として、インダクタンスの変化は共振周波数の変化として読み取る。その後、検波回路とリニアライザ回路を通すことで、PCBコイルと検出ターゲットとの間の距離に比例した電圧に変化する。

 つまり、PCBコイルの両端電圧を監視するだけで、インピーダンスとインダクタンスの両方の変化を測定できることになる。インピーダンス測定時の分解能は16ビット、インダクタンス測定時は24ビットといずれも高い。データ更新周波数(データ・レート)は最大78kHzである。

形状の工夫でさまざまな使い方が可能に

 前述のように、インピーダンスやインダクタンスの変化の様子は、PCBコイルと検出ターゲットの距離や、それらの形状で決まる。言い換えれば、PCBコイルと検出ターゲットの形状を工夫すれば、さまざまな使い方が可能になる。いくつか事例を紹介しよう。

 1つめは、検出ターゲットの形状を工夫することである。図3のように、一方の端部が太く、もう一方の端部が細い形状の検出ターゲットを用意すれば、横方向において右に動いたのか、左に動いたのかを判別することが可能になる。さらに、同じ形状の検出ターゲットをもう1つ使い、形状が反対になるように配置し、それぞれにPCBコイルを用意すれば、検出ターゲットが縦(Z軸)方向に移動したのか、横(XY軸)方向に移動したのかを判別できるようになる。

mm131001_ti_lecture_fig3.jpg 図3 横方向の変位を検出する

 2つめの事例は、検出ターゲットの形状を工夫して回転量を測定する方法である(図4)。一方の端部が太く、もう一方の端部が細い形状の検出ターゲットを、円を描くように配置する。PCBコイルは1個である。この状態で検出ターゲットを回転させると、回転角に応じた出力が得られる。さらにPCBコイルを3個用意すれば、検出ターゲットがZ軸方向に移動したのか、回転したのかを判別できるようになる。

mm131001_ti_lecture_fig4.jpg 図4 回転による変位を検出する

 3つめの事例は、歯車状の検出ターゲットを用意すれば、歯数をカウントできるようになることだ(図5)。なお検出ターゲットの回転方向によって、出力波形が異なる。PCBコイルに対して検出ターゲットが垂直になるように配置すれば、出力波形は矩形波状に、水平になるように配置すれば正弦波状になる。

mm131001_ti_lecture_fig5.jpg 図5 歯車の歯数をカウントする

 このほか、インピーダンスとインダクタンスの両方を測定できることを利用したコインの特定や、バネをコイルとして使用することでその伸縮量の測定などにも利用できる。工夫次第では、これ以外の使い方も可能なはずだ。

 LDC1000のパッケージは16ピンSON。電源電圧は5.0Vで、消費電流は1.7mAである。このほかLDC1000と直径14mmのPCBコイルなどを搭載した評価ボード「LDC1000EVM」も用意している(図6)。

mm131001_ti_lecture_fig6.jpg 図6 LDC1000を搭載した評価ボード
コイルとLDC1000、LDC1000とマイコンとの間に切れ目を入れた。これらで切り離し、両者を離して配線で接続しても正常に動作する。センシング部の外形寸法を極力抑えたい用途、ほかのコイルやバネを使用する用途など、さまざまなアプリケーションを想定した評価が可能になる。

LDC1000の詳細はこちら



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月31日

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