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微小なエネルギー源から効率的に発電、日本TIの電源管理IC日本TI bq25570など

日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、エネルギー・ハーベスト機器向けの電源管理ICとして合計5製品を発表した。昇圧型充電ICの2製品とDC-DCコンバータICの3製品である。マイクロワットレベルの微小なエネルギー源から、効率よく発電することを可能とした。

» 2013年11月19日 11時00分 公開
[馬本隆綱,EDN Japan]
日本TIの昇圧型充電IC

 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2013年11月19日、エネルギー・ハーベスト機器向けの電源管理ICとして合計5製品を発表した。昇圧型充電ICの2製品とDC-DCコンバータICの3製品である。ICチップの消費電流を低減するとともに、電力の変換効率を高めたことで、マイクロワットレベルの微小なエネルギー源から、効率よく発電することを可能とした。

 新製品は昇圧型充電ICの「bq25570」と「bq25505」、DC-DCコンバータICの「TPS62740」、「TPS62737」、「TPS62736」である。

 bq25570は、静止電流が488nAと極めて低い。しかも、スイッチング方式のレギュレータを集積したことで、10μA未満の出力電流時に最低でも90%の効率を実現した。複数の太陽光発電セルを使った動作では、変換効率はさらに向上するという。従来の充電ICにはリニア方式のレギュレータを採用していたため、変換効率は50〜60%にとどまっていた。

日本TIの昇圧型充電ICは、利用できる電力レベルが微小でも高い変換効率を得ることができる (クリックで拡大) 出典:日本TI

 さらに、エネルギー源によって異なる昇圧電圧の最適値(最も高い変換効率が得られる電圧)を自動的に設定できるMPPT(最大電力点追従)機能を内蔵した。蓄電システムとしてはリチウムイオン電池、薄膜電池、スーパーキャパシタなど、ほとんどの蓄電デバイスを利用することができる。

 bq25505は、bq25570と同じ機能を備えているが、アクティブ電流を325nAに抑えた。また、ボタン電池など一次電池とエネルギー・ハーベスト電源をシームレスに切り替えて動作させることができる自立型電源マルチプレクサゲートドライブを内蔵している。これによって、エネルギー・ハーベスト電源を利用できない場合でも、一次電池に自動的に切り替わるため、一定期間はシステムを動作させることができる。bq25570、bq25505ともパッケージの外形寸法が3.5×3.5mmのQFNで供給されている。参考価格は1000個購入時の単価がbq25570は3.2米ドル、bq25505は2.4米ドルである。

日本TIの昇圧型充電IC。bq25570(左)とbq25505(右)。
日本TIの低消費電力DC-DCコンバータ「TPS62740」

 同時に発表したDC-DCコンバータも消費電力を低減している。TPS62740は出力電流が300mAで、アクティブ静止電流は360nA、待機時の電流は70nAを実現している。しかも出力電流が10μAまで低下しても、変換効率は最低で90%を達成している。また、プログラマブル出力電圧機能やDCS-Control機能なども集積した。

 この他、出力電流が200mAのTPS62737と、出力電流が50mAのTPS62736も併せて製品化した。いずれも、アクティブ静止電流は370nA、スリープ時の消費電流は15nAと極めて低い。出力電流が15μA未満となっても変換効率は90%を実現している。

 TPS62740はパッケージの外形寸法が2×3mmのSONで供給する。1000個購入時の単価は1.1米ドルである。TPS62737とTPS62736はパッケージの外形寸法が3.5×3.5mmのQFNで供給される。1000個購入時の単価はTPS62737が1.0米ドル、TPS62736が0.8米ドルとなっている。

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