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» 2014年06月09日 10時00分 UPDATE

しっかり分かる「センサーの活用法」:いまさら聞けないジャイロセンサー入門 (3/3)

[野口洋,STマイクロエレクトロニクス]
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ジャイロセンサーの選定基準

 アプリケーションによって角速度の検出範囲がある程度決まっても、まだ数ある製品の中から最適な製品を絞り込むには十分といえません。次のステップとして、以下のパラメータの対応範囲、特性、もしくは有無について検討することでさらなる選定を進めることができます。


  • 電源電圧
    • デバイスに供給する電圧値です。デジタル品の場合、デバイスのコア部に電源を供給するVdd_Coreとデバイスのインタフェース部に電源を供給するVdd_IOの2系統あります。
  • 消費電流
    • 動作モードにより、消費する電流が異なります。間欠動作させることが多い場合、スリープモードやパワーダウンモードでの消費電流も重要となってきます。一般的にノーマルモードでの動作はミリアンペアレベル、スリープモードでの待機電流はミリアンペアもしくはマイクロアンペアレベル、パワーダウンモードでの待機電流はマイクロアンペア、もしくはそれ以下のレベルです。
  • ゼロレート出力の温度依存性
    • ゼロレート出力値が温度によりどの程度変動するのかを表すパラメータです。この数値が低いほど、温度変化に対して安定した特性を得ることができます。
  • 感度の温度依存性
    • 感度が温度によりどの程度変動するかを表すパラメータです。この数値が低いほど、温度変化に対して安定した特性を得ることができます。
  • 出力データレート
    • 出力がどの程度頻繁に更新されるかを表すパラメータです。一般的に、出力データレートが速いと消費電力が大きくなり、遅いと消費電力が小さくなります。アプリケーションに応じて必要となるデータレートは異なりますが、多くの製品ではこのパラメータは調整可能になっていますので、任意に設定します。
  • 周波数応答
    • 検出する信号の周波数帯域を示すパラメータです。多くの場合、ジャイロセンサーは入力信号のDC成分からデバイスに内蔵されているLPFの帯域までの信号を捉えることができます。また、多くの製品でHPFとそのカットオフ周波数も個別に調整可能ですので、アプリケーションに応じて任意に設定します。
  • 非線型性
    • 出力を直線で近似した値と実際の出力を比較した際に発生する誤差を検出範囲の%で表すパラメータです。この数値が低いほど回転した後得られる出力の誤差が少ないことを示します。
  • ノイズ密度
    • 出力に重畳されるデバイス起因のノイズを示すパラメータです。ノイズが大きいと出力の解像度に影響を与え、微小な信号を捉えようとしてもノイズに埋もれて測定が困難になります。
  • セルフテスト
    • デバイスに内蔵された自己診断機能です。この機能により、セットにジャイロセンサーを組み込んだ後でもセットを動かすことなくジャイロが正常に動作しているかどうかを判別することが可能になります。

まとめ

 数年前にゲーム機やスマートフォンに大々的に採用されるようになり、半導体デバイスとしてのジャイロセンサーの知名度は飛躍的に上がりましたが、ジャイロセンサーの歴史そのものは19世紀までさかのぼります。本稿で紹介した用途以外でも人工衛星やロケット、飛行機から潜水艦までシステムの姿勢制御には欠かせない部品となっています。ただしこれらの用途は半導体デバイスでは実現が困難な安定性や精度が求められるため、現在においても大掛かりな装置が用いられています。

 半導体技術でこのデバイスが実現したことにより、小型で安価なジャイロセンサーを入手できるようになり、本稿でも紹介したようなアプリケーションでは一般的に用いられるデバイスとなりました。多くの場合、加速度センサーとセットで用いられることから、現在は加速度センサーとジャイロセンサーを同じパッケージで提供するいわゆる 6軸品の製品も既に複数のメーカーから提供されています。また、機器の小型化に伴い、デバイスのさらなる小型化や、さらなる統合化(例として、加速度センサー、ジャイロセンサーに加え、地磁気センサーまで一体化した9軸品の製品など)を実現した製品も開発が進んでいます。今後はウェアラブル系の電子機器やロボット系の姿勢制御などの分野でも採用が拡大していくよう、小型化、低消費電力化、特性のさらなる向上、といったキーワードを軸に新しい世代のジャイロセンサーの開発が進んでいくでしょう。

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