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» 2014年06月30日 09時00分 UPDATE

電子回路設計技術 自動車:パワートレインの新しいトレンドに対応した集積回路 (1/3)

本稿では、まずオルタネータとして知られているランデル型電気機械周りの継続的な改良や適切な例をいくつか考察します。加えて、古典的な燃焼エンジンの石油依存度をさらに低減するのに役立つ、多数のセンサーの設置について述べる他、既存の誘導センサー技術を用いてブレーキ・ペダルを改良し、自動車でより多くのエネルギーを節約する方法について説明します。

[Johan Janssens, Marcos Laraia, Bart De Cock,ON Semiconductor]

 今日の自動車は、環境への負荷を抑えながら高いエネルギー効率を実現すべく進化しています。長期的には、非石油系のパワートレインが最も有望な答えのように思えますが、それに到達するまでの間、自動車産業は現状で利用可能な技術に改良を加えています。大きな流れがハイブリッド化であり、アイドリングストップや始動時に電気エネルギーを使用するマイクロハイブリッドやマイルドハイブリッドで多くの発展が見られます。これらの「適度なハイブリッド」ソリューションは、既に旧式のように見えるかもしれませんが、これらの用途に対しては、今もなお多くの電子的・機械的開発が進められています。

 本稿では、まずオルタネータとして知られているランデル型電気機械周りの継続的な改良や適切な例をいくつか考察します。電子制御が進歩したおかげで、効率が向上し、より多くのエネルギーを回復することができ、頻繁なエンジン始動の影響も排除されます。加えて、古典的な燃焼エンジンの石油依存度をさらに低減するのに役立つ、多数のセンサーの設置について述べます。既存の誘導センサー技術を用いてブレーキ・ペダルを改良し、自動車でより多くのエネルギーを節約する方法についても説明します。

スタータ−オルタネータ

 スタータ−オルタネータ・システムでは、受動整流ダイオードが高電流スイッチに置き換えられます。これらのスイッチには、スタータ−オルタネータをモータとして駆動したり(スタータ・モード)、オルタネータ内部で生成されたスタータ電流の同期整流を行う(交流発電機モード)役割があります。

 同期整流では、高導電性チャネルで(ボディ)ダイオードをバイパスして、オルタネータのエネルギー効率を大幅に向上させることによって、順方向電圧降下を150mV以下に低減しています。

tt140630ONCAR001.jpg 【図1】オルタネータでの同期整流

 このアプリケーションでの機能面における主な課題は、スタータ電流の極性が反転したときに、極めて高速なスイッチ・オフを保証することです。スイッチ・オフが遅れると、通常のダイオードの逆回復と同様に、望ましくないバッテリ放電が発生します。これを防止するために、プリドライバICは、整流時のオーム損失と電流極性変化時の遷移損失の間で可能な最大限の妥協を図るように設計され、自律ゲート制御ループ内で動作する高スルーレート・ドライバを内蔵しています。これらのプリドライバを1個のICに集積することはかなり複雑な作業です。

 まず、多数の異なる電圧ドメイン間で信頼性の高い通信を確保しながら、共通のシリコン基板上でこれらのドメインを共存させる必要があります。

 次に、スタータ-オルタネータのドライバICを、逆バッテリ接続、負荷ダンプ、負グランド・シフト、スタータ位相での非常に大きなdV/dt(1μ秒当り100V程度)、電磁妨害など、さまざまなトランジェントが発生する可能性がある最悪の場所に配置します。それでも、シリコン基板で差動技術を使用し、寄生(バイポーラ)効果を注意深く管理すれば、SOI(Sillicon on Insulator)技術とは逆にコスト効果の高いバルク技術で、このタイプのICを作製することが可能です。

tt140630ONCAR002.jpg 【図2】スタータ・オルタネータで高CGSのMOSFETを制御するための堅牢なプリドライバ (クリックで拡大)

 従来の鉛蓄電池とは別に、リチウムイオン電池やスーパーキャパシタなど、多くの種類のエネルギー貯蔵素子が、始動/停止(アイドリングストップ)システム周辺の電源網に組み込まれています。これらのシステムでは、エンジンなどの中核機能に劣らず安全性が重要になります。その結果、ISO26262の安全規格の重要性がますます高まり、場合によってはシリコンの大部分がアプリケーションの監視専用となって、ICとその周辺ICの健全性をチェックし、必要に応じて安全状態を確保します。

 インテリジェント回路と高電力部品を近接して配置した場合、制御回路の接合温度がかなり上昇するため、アプリケーションで175℃を超える動作接合部温度を検討しなければならないことも珍しくありません。さらに、部品の認定フェーズでは、寿命試験時間を妥当な2000時間以内に抑えるために、最高200℃の温度を使用して劣化過程を加速させることができます。拡張温度プロファイルを有するシリコン・プロセスを使用し、設計段階でこの制約を考慮することによって、効果的にこの課題に対処できます。

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