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シリアルオシレータとフォトトランジスタで作る照度センサーWired, Weird(2/2 ページ)

» 2014年08月06日 08時30分 公開
[山平豊内外テック]
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暗くなると発振する回路

 次に暗くなると発振を始める回路例を図2に示す。この応用は暗くなると発振するので、夜間に点滅するフラッシュライトに使える。暗くなるとLEDがフラッシュ点灯し、自動車のダッシュボートに置くと点滅が目印になり自分の車が遠くから見つけやすい。また夜間に危険な箇所や貴重品の置き場所をフラッシュ点灯させて注意を喚起する用途にも使える。なお、この回路の1番の特徴は消費電流が小さいことだ。このため電池を使って長期間の動作が可能になる。

【図2】暗くなると発振を始める回路例

 図2の回路図を説明する。図2の右側がシリアルオシレータで、コンデンサC1に並列にフォトトランジスタQ0が接続されている。周囲が明るいとQ0に電流が流れ、Q0がオンする。このためコンデンサC1は充電されず、シリアルオシレータは発振しないのでLEDは消えたままになる。周囲が暗くなるとQ0には電流が流れなくなりQ0がオフ状態になる。このときコンデンサC1は充電可能になり、コンデンサC1が充電されトランジスタQ1のエミッタ電圧が上がりQ1がONできる電位まで上がるとシリアルオシレータは発振を始め、LEDはフラッシュ点灯する。

 図2の発振周波数はどれくらいになるだろうか? 図2の回路例では約2秒に0.1秒程度の時間でLEDがフラッシュ点滅する。フラッシュ動作は電池の消耗を減らすことが目的であり、電池でも長期間の動作を可能になる。この回路で単4電池3個を使用したら、電池寿命の予測は1.5カ月と計算されたが、実測値では3カ月近くも夜間フラッシュライトが動作した。昼間はQ0がオンしても電池に微小な電流しか流れないため電池が回復する機能が働き、長期間フラッシュライトが長期間動作できたと思われる。

 なお図2の回路では3Vの電池電圧でも白色LEDを点滅させることもできた。電池の初期電圧は3Vを少し超えており、白色LEDのVFは電流が多いと3.2V程度である。しかしLEDに流す電流を減らすと3Vより少し低くなり、夜間であればかなり明るい光になる。このためシリアルオシレータが発振できれば、3Vの電池でも白色LEDをフラッシュ点灯させることができる。なおこの動作ではR5が重要な抵抗であり、電池での発振動作を可能にしている。それはR5がないとLEDに微小電流が流れたときに、約1.7VのVFがLEDに残り、シリアルオシレータには1.3V程度の電圧しか供給されない。

 しかし、1.3Vの低い電圧ではトランジスタ2個を使ったシリアルオシレータでは発振が止まる。R5がLEDに並列に接続されていると、微小電流はR5に流れLEDの電圧降下が少なくなる。つまり、シリアルオシレータへ3Vに近い電圧が供給されて、シリアルオシレータが発振できる十分な電圧を得えられるわけだ。

場所を示す“ここライト”

 具体的な応用作品を紹介しよう。なお図2のR4を2.7KΩの大きな値にしてLEDの電流を減らしている。写真を図3に示す。

【図3】ランチャーライトのスイッチ操作部(中央の白いスイッチ)に図2のPTの発振回路基板を追加したところ

 図3は市販されているランチャーライトのスイッチ操作部(中央の白いスイッチ)に図2のPTの発振回路基板を追加したものだ。このライトは暗くなると3秒間に0.1秒ほど瞬灯し、ライトのある場所を教えてくれる。このライトの名前は“ここライト”とした。“ここライト”は暗いところで点灯させるので微小な電流で十分であり、かなりの長期間の動作が期待できる。4年前に試作したライトの電池はそのままだが、現在でもまだ動作している。“ここライト”の実際の作り方は近いうちに紹介する予定だ。

 シリアルオシレータは簡易な発振回路であるが周波数を低くしてLEDのフラッシュ点滅を行い、周波数を高くしてブザーを鳴らすこともできる。シリアルオシレータとセンサーを組み合わせた応用例を読者にも考えてほしい。

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