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» 2014年11月07日 09時30分 UPDATE

電子機器設計ノウハウ:ウェアラブル機器設計で知っておきたい故障原因 (1/4)

スマートウオッチやスマートグラスなどウェアラブル機器市場が立ち上がりつつある。この新たな機器であるウェアラブル機器の設計、製造には、未知の課題も多く存在するだろう。その1つが、故障原因だ。ウェアラブル機器は往々にして携帯電話機などモバイル機器と同一視されがちだが、モバイル機器にはないウェアラブル端末ならではの故障原因が潜む。本稿では、ウェアラブル機器の設計、製造で留意しておきたい故障原因を紹介する。

[Greg Caswell/Craig Hillman(DfR Solutions),EDN]

はじめに

 ウェアラブル機器の市場規模について専門家は、現在は30億〜50億米ドルであり、今後3〜5年の間には300億〜500億米ドルに増大すると予測し、さらに、スマートフォン使用者の15%以上がウェアラブル製品を購入することになろう、と見積もる。

 その応用分野と用途は、Beecham Researchの資料によれば、図1に示すように複雑に入り組んだものになる。

tt141106EDNS001.jpg 図1 ユビキタス市場におけるウェアラブル機器の応用分野および用途 (クリックで拡大) 出典:Beecham Research

どの程度の信頼性が必要か

 さて、問題はウェアラブル機器は信頼し得るのか、ということだ。信頼性とは、ユーザーの使用環境において、要求され、あるいは望まれる期間にわたって仕様通りの働きを可能とする製品能力の指標だ。この観点によれば、製品に期待される働きは何か、どのような環境で使用されるか、どの程度の期間にわたって維持されるべきか、を考慮することが必要だ。

 ウィキペディアではウェアラブル機器を“衣類の下や表面あるいは上から人体に装着される小型電子デバイス”と定義している。これに対し筆者はもっと適切と考えられるものとして次の定義を提唱してきた。

 “人体または衣類に装着され、それを利用して装着者がデバイス自体や装着者自身あるいは社会ネットワークをモニターするとともに、デバイスを制御することも含めて、相互に作用し合うことを可能にする技術”。

 ウェアラブル機器は“次世代技術”に分類される。これら次世代技術をサプライチェーンやユーザーが導入しようとするのは、それがより安価、より高速、より強力なことなどによる、と考える。

新技術は適切か?

 故障発生の最も一般的な原因の1つが、新技術の採用が適切でないことだ。われわれ一般人は製品を組み込むためのパッケージ技術に関わることがほとんどないので、予測困難な欠陥であり、新技術が信頼し得ることを確証するにはどのような対策を必要とするかについて認識しておくべきだ。新しい電子市場では珍しくないことだが、新しいアプリケーションが安全で信頼し得ることを保証するには、信頼性見通しに基づいて対処しなければならない課題がある。

 年間100万米ドルに達するような売り上げが1社か2社の顧客からもたらされるような携帯電話機市場は、市場調査を実態にそぐわないものにする可能性がある。そのため、市場の要求と、ウェアラブル機器のニーズに合致しないかもしれない。

 この問題を理解するための一例が、0603(0.6mm×0.3mm)サイズのセラミックコンデンサだ。当初は“小さければ小さいほど良い”が電子技術の合言葉になっていた。図2は2010年に0603コンデンサが積層セラミックコンデンサ市場の25%になったことを示している。この結果、何が起こっただろうか。

tt141106EDNS002.jpg 図2 積層セラミックコンデンサ(MLCC)のサイズ別シェア (クリックで拡大)

 0603コンデンサ技術を医療用インプラントなどの要求の高いアプリケーションに組み込むことが試みられたが、品質問題や予期しない劣化あるいは保証条件に基づく返品が起こるという事態になった。

 ウェアラブル機器の場合、製品には多様な“次世代技術”が利用される。例えば、0603サイズや1005(1.0mm×0.5mm)サイズのコンデンサであり、基板素材としてもポリエーテルスルフォン(Polyethersulfone)、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN:Polyethylene Napthalate)が使われている。印刷配線材には銀インク、ナノソルダー、導電性ポリマー、ディスプレイに有機ディスプレイ、電源にはスーパーキャパシタといった“次世代技術”が利用される。これらの次世代技術は、それぞれがウェアラブルの要件に対して信頼性のあることを検証しなければならない。

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