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» 2015年02月25日 00時00分 UPDATE

宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎:第6回 マイコンはなぜいろんな種類があるの? 何を使えばいいの?

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パソコンのCPUとスマートフォンのCPU

Q:マイコンにはいろいろな種類があるのですが、どうしてですか?たとえば、TIのマイコンにはMSP430シリーズC2000シリーズ、ARMコアのシリーズがありますね。パソコンのCPUならだいたい「これ」って決まっているのですが…。

A:そうですね。パソコンのCPUならメーカーはIntelをはじめせいぜい2〜3社、製品の種類は主に性能と価格の違いで分かれていて、基本アーキテクチャもほぼ共通です。これは、パソコンというジャンルが特別だともいえます。パソコンは、1つのハードウェア上でさまざまなソフトウェアを実行する汎用・多機能のコンピュータです。ユーザーが多いほどソフトウェアなどの資産が増えて使いやすくなり、量産効果でハードウェアも安くなってさらに普及するというメカニズムが働きます。CPUについても、パソコンの歴史の中で特定のメーカーに収束してきました。ただし、パソコンのCPUはパソコンという1つの装置に特化して進化してきたので、他の装置にはあまり多く使われません。

photophoto 図 CPUとマイコンの違い

Q:そういえば、スマートフォンやタブレットではパソコンのCPUが使われているわけではないのですね。

A:スマートフォンやタブレットは、アプリ(ソフトウェア)をいろいろ取り替えて実行する点ではパソコンと同じ汎用のコンピュータで、基本アーキテクチャは特定のものに収束する傾向があります。ただし、パソコンよりもアプリの種類はずっと限定的で、要求される処理性能も低く、その代わりもっと小型・薄型で、長時間のバッテリ動作が必要です。パソコンのCPUではサイズや消費電力が大きすぎるので、ARM Cortex-Aなどパソコンとは異なる基本アーキテクチャのCPUが使われてきました。ただし、最近ではARMがCPUの高性能化を進める一方で、IntelはCPUの小型・低消費電力化を進めており、境界はどんどんあいまいになってきていますね。

Q:ARM以外にも、スマートフォンやタブレットのCPUのメーカーはありますか?

A:実は、ARMはCPUを作っているわけではなくて、CPUコアの設計をLSIメーカーにライセンスしています。実際にスマートフォンやタブレットに搭載されるCPUは、ライセンスを受けたたくさんのメーカーで作っています。そのとき、各メーカーが独自に設計した周辺回路とCPUコアを組み合わせたいわゆるSoC(システムオンチップ)の形をとりますから、同じARMでも各メーカーの特長を出すことができます。

マイコンの種類と選び方

Q:パソコンやスマートフォン、タブレットと違って、マイコンの種類が多いのはどうしてですか?

A:まず、マイコンが使われている機器はものすごく多く、幅広いということがあります。身の回りには、テレビなどの情報家電、冷蔵庫などの白物家電、給湯器などの住設機器、自動車、電卓などの文具、ゲーム機やおもちゃなどがあります。街角では交通信号、電光掲示板や電子看板、自動販売機、コインパーキングなどを見かけます。ビルの自動ドアやエレベータ、照明や空調、電車・飛行機・船などの交通機関、商店のレジ、オフィス内のさまざまなOA機器、工場内のさまざまなFA機器、病院内のさまざまな医療機器、電気・ガス・水道・電話・放送などのインフラ設備というように、用途、大きさ、管理者、環境も多岐にわたります。また、機器の大きさ、電源の容量、動作環境、マイコンが行う仕事もさまざまに異なります。このような機器では、必要なソフトウェアは機器の製造時に内蔵されていて、ユーザーがソフトウェアをいろいろ取り替えることはありません。マイコンに必要な処理性能やサイズ、コスト、消費電力、周辺機能などの条件は、最初から決まります。それらに対応するために、マイコンの品種もとても多くなっているわけです。

Q:では、マイコンを選ぶにはどうすればよいのですか。

A:いくつかの観点がありますね。まず、ビット数を1つの目安として、処理性能と消費電力のトレードオフを考えます。TIでいえば、MSP430シリーズは16ビットで超低消費電力、C2000やARMコアは32ビットで高性能という特長があります。また、マイコンにさせる処理に注目して選ぶことも必要です。同じ32ビットでも、C2000はモーター制御などリアルタイムの制御演算が得意だし、ARMコアには汎用マイコンのCortex-Mを採用したTiva C、高度な安全性が特長のCortex-Rを採用したHercules、画像などマルチメディア処理が得意な超高性能CPUのKeystoneやSitaraなどの違ったタイプがそろっています。

Q:ARMコアで、マイコンタイプのCortex-MとCPUタイプのCortex-Aはどう違うのですか。Cortex-AはスマートフォンやタブレットのCPUではないのですか?

A:最も大きな違いは、Cortex-Mは内蔵フラッシュ・メモリを主記憶としてプログラムを実行するのに対して、Cortex-AはDRAMなどの外付けの主記憶でプログラムを実行することですね。Cortex-Aは主記憶を内蔵していない代わりに、外付け主記憶のアクセスを高速化するために、キャッシュ・メモリを内蔵しています。

 内蔵フラッシュ・メモリは容量が限られているのであまり大きなプログラムの実行や大きなデータの一括処理はできませんが、外付け部品が少なくて小型、低消費電力、低コストにできます。

 一方、DRAMなど外付けの主記憶は必要に応じて大容量にできますが、電源を切ると主記憶の内容が消えてしまうので、プログラムはSSDやメモリカード、外付けフラッシュ・メモリなど不揮発記憶媒体に保存しておくことも必要です。CPUの他に外付け部品が必要で、システムは大きくなってしまいます。

 Cortex-Aは、画像/マルチメディア機器やネットワーク機器など、マイコンには負担が大きすぎるが、といってパソコンのCPUではサイズ、消費電力が大きすぎたり、コストが高すぎるという用途のために作られたCPUコアです。携帯電話、スマートフォン、タブレットはCortex-Aの代表的な用途ですが、他にも民生用のカメラ、テレビ、BD/HDDレコーダ、携帯音楽プレーヤなど、産業用の監視システム、検査システム、交通システム、医療機器などにも広く使われています。TIのSitaraは一般的なマルチメディア処理とリアルタイム制御をコンパクトに組み合わせたCPU、Keystoneはより高度なマルチメディア処理を追及したCPUとなっています。

※MSP430、C2000、Hercules、Tiva、SitaraはTexas Instruments Incorporatedの商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日

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