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冷蔵庫の開け過ぎを警告する節電タイマー回路Wired,Weird(2/2 ページ)

» 2015年04月13日 10時00分 公開
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“開けっぱなし”の警告だけでは、物足りない

 この回路を作ってみて、希望通りの動作ができたが少し不満があった。それは初段の回路の遅延回路があまり面白くない。それは、ドアを閉めればタイマーがクリアされてしまい、短時間でドアの開閉を繰り返しても警報が出ないことと、回路の構成部品が多すぎることだ。遅延回路と4秒の発振回路を一緒にできればシリアルオシレータの強みが発揮できる。いろいろ回路を考えた末に、ようやく目標の回路図が出来上がった。短時間でドアを開閉した場合も早めに警報が出た。かなりひねったので少し分かりにくいが、回路図を図3に示す。

図3 ドアの開放時間を積算して警報する回路の回路図(改良版)

 図3の回路構成を説明する。図1で初段にあった遅延回路はなくなったが、同様の機能を図3下中央のダイオード、10MΩ抵抗と10uFのコンデンサを長周期の発振回路に付加することで実現できた。発振回路の周期は2.5秒と少し早めにした。

 ブザー回路は同じだが、ピエゾに接続する抵抗を1KΩに小さくした。これはブザーの音を大きくするのが目的だ。

放電を遅くして、ドアの開放時間を蓄積

 図3の遅延回路部の動作を説明する。冷蔵庫のドアが閉まっているときはドアスイッチがオンしており、2.5秒発振回路のコンデンサが放電され、発振は停止している。冷蔵庫のドアが開くとドアスイッチはオフするが、遅延回路部の10uFと発振回路の1uFがダイオードを通して並列に接続されており、時定数は11秒になり、発振回路がオンするのに22秒の時間がかかった。その後は、発振周期が約2.5秒で発振し、ブザーを断続鳴動させた。なお10uFのコンデンサは並列に接続された10MΩの抵抗を通して放電されるので時定数はかなり長い100秒程度になり10uFのコンデンサはすぐには放電しないので、2.5秒の発振動作への影響がなくなる。

 なお、図3の遅延回路部の中にあるダイオードがこの回路の主役で、冷蔵庫のドアを閉めると、2.5秒の発振回路は動作を停止してブザーは止まるが、10uFのコンデンサの放電にはかなり時間がかかるので、短時間で冷蔵庫のドアを開けるとブザーがまた鳴り始める。シンプルな構成でシリアルオシレータの強みを発揮した回路になった。

 図3の回路もブレッドボードに作ってみた。センサーは外してある。図4に示す。

図4 改良したシリアルオシレータによる「ドアの開けっ放し」を知らせる警報回路

身近な材料で作成

 図4で図2にあった遅延回路がないことが分かるだろう。電池、スピーカー、センサーと基板をケースに組み込んでみた。図5に示す。

図5 電池、スピーカー、センサーと基板をケースに組み込んだところ

 図5のケースは豆腐のケースを流用し、ピエゾを貼る台紙は名刺を使った。動作を確認したら、センサーを外して約22秒でブザーが2.5秒周期で鳴り始めた。これで動作OKだ。

完成したけれど……

 冷蔵庫に取り付けて動作を確認しようと思い、嫁さんに相談したら、嫁さんいわく“ウチの冷蔵庫はエコ仕様なので、30秒冷蔵庫を開けたらブザーが鳴るのでいらない”とのことだった。作った冷蔵庫のドアの警報回路は机の上で出番を待っている。

 今回のようなタイマー回路と発振回路はシリアルオシレータが最も得意とするところだ。マイコンで作った回路と比較した場合は、動作する電源電圧の幅が広いこと、小型化できること、消費電流が少ないことなどの利点がある。シリアルタイマーの応用例がまた増えた。

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