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特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

Bluetooth 4.2 インターネット接続機能を理解する最新仕様でIPv6をサポート(1/4 ページ)

2014年12月に策定が完了したBluetooth 4.2。この最新規格の最も大きな特徴は、モノのインターネット(IoT)を実現する上で欠かせないIPv6接続をサポートするということです。本稿では、開発者にとって具体的にどのようなメリットがあるのかを、プロトコルの点から解説します。

» 2015年04月22日 10時00分 公開

 IoT(モノのインターネット)を思い通りに動かすには、デバイスをインターネットに接続する必要があります。クラウドサービスへのデータ送信が可能なBluetooth Smartデバイスを用いれば実現できますが、現状ではスマートフォンやタブレット端末のような、OSを搭載しソフトウェアスタックを実行するドライバをサポートしたハブデバイス経由でしか利用できません。

 ですが、開発者にとっては、インターネットへの直接接続を活用できるようになることが重要な要件になります。これによって、IoTが“バズワード”ではとどまらず、真の“常時接続”を実現することにつながるからです。

 Bluetooth SIG(Special Interest Group)は2014年12月、Bluetoothコア仕様の最新版であるBluetooth 4.2を正式に採択しました*)。この最新版には、低消費電力、高速データ通信、セキュリティ対策の改善、ユーザープライバシー向上の新しいメカニズムといった機能を含む、開発者向けの重要なアップデートが多く採用されています。

*)関連記事:最新規格「Bluetooth 4.2」発表、セキュリティと転送速度が向上

 Bluetooth 4.2において、特にIoTデバイス開発者向けに最も重要な機能はインターネットに直接、接続できることではないでしょうか。

インターネット接続の形式

 インターネット接続には、IPSP(Internet Protocol Support Profile)、HPS(HTTP Proxy Service)、RESTful APIのように、さまざまな方法があります。これらは全て、クラウドからBluetooth Smartデバイス、またはその逆方向のアクセスに不可欠なメカニズムとなります。

IPSP

 IPSPと呼ばれる新しく作成されたプロファイル(デバイス間のBluetoothベースの無線通信を定義する形式仕様記述)は、BluetoothでIPv6が利用できるように設計されていて、これによりBluetooth Smart対応デバイスは、クラウドへ接続する時にスマートフォンやタブレット端末とペアリングする必要がなくなります。

 2020年には自動車や窓、トースター、オーブンに至るまで、約280億台のデバイスがインターネットに接続されると予測されています。Bluetooth 4.2を使うと、IoTデバイスが“6LoWPAN over Bluetooth Low Energy(省電力通信を行う規格)”をサポートするルータやアクセスポイントを介し、Bluetooth経由でインターネット接続できるようになります。

HPS

 HPSにより、Bluetooth Smartデバイスは公衆インターネット上のリモートWebサーバと通信できるようになります。例えば、自宅にある全てのスマートホーム関連デバイスにBluetooth Smart対応温度センサーがインストールされると、クラウドベースのホームエネルギー効率化のアドバイスサービスに温度測定値を送信できるようになります。

 これには、スマートフォン、PC、タブレット端末など、HPSをサポートするBluetooth対応ゲートウェイが必要になります。HTTPは一般的にサポートされているプロトコルですが、全てのアプリケーションが最適に動作するわけではありません。例えば自動車からの遠隔測定といったメッセージ指向のアプリケーションの場合は、MQTTプロトコルのほうが適しています。HPS仕様は、2015年第1四半期に利用可能となる予定です。

photo 図1 HPSアーキテクチャ
GATT:Generic Attribute Profile(ジェネリック・アトリビュート・プロファイル)、ATT:Attribute Protocol(アトリビュート・プロトコル)

 図1は、全体的なHPSアーキテクチャを示しています。

 この例でいうと、温度センサーのようなデバイスにHPSクライアント機構が実装され、ルータに実装されるBluetoothインターネットゲートウェイがHPSサービスを提供します。「ルータでHPSサービスが利用できる」ということは、標準GAP(Generic Access Profile)手順を使って、クライアントになる可能性のあるデバイスに通知されます。

 温度センサーは、HPSサービスを含む各種GATT(Generic Attribute Profile)特性(characteristics)に書き込むことで、HPSサービス宛にターゲットURL、HTTPヘッダ値、起動したいHTTP操作を指示します。HEAD、GET、POST、PUT、DELETEの各HTTPメソッドは全てサポートされていて、HTTPまたはHTTPSのいずれかが指定されます。HTTP操作が完了すると、HPSサービスは温度センサー内のHPSクライアントに、HTTPステータスコードのGATT特性に関連するGATT通知を返信します。HPSはBluetooth BR/EDR上で公開される場合もあるため、そのHPS用に定義されたService Discovery Protocolレコードを持ちます。

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