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» 2015年06月09日 12時00分 UPDATE

電源設計:IGBTの熱計算により 電力設計の有効性を最大化 (1/4)

1つのダイで構成される半導体デバイスのジャンクション(接合部)温度の計算方法はよく知られています。ダイの電力損失を測定し、ダイとパッケージ間の熱抵抗を掛けて、ケースから接合部への温度上昇を計算すれば求められます。しかし、IGBTとダイオードを1パッケージに封止したパワーモジュールの場合はどうすれば良いでしょう。ここでは、IGBTとダイオードの熱抵抗を用いて平均およびピーク時のジャンクション温度を計算する方法を解説します。

[Alan Ball(ON Semiconductor),EDN Japan]

 ほとんどの半導体デバイスで、ジャンクション(接合部)温度の計算方法はよく知られています。通常、ケースまたはリードの温度は把握しやすいでしょう。ダイの電力損失を測定し、ダイとパッケージ間の熱抵抗を掛けて、ケースから接合部への温度上昇を計算すればよいのです。この計算方法は、BJT(バイポーラジャンクショントランジスタ)、MOSFET、ダイオード、サイリスタを含め、全ての単一ダイのパッケージに適用できますが、マルチダイのIGBTの場合では不十分です。

 IGBTにはモノリシックのダイオード付き(RC-IGBT)、またはダイオードなしの単一ダイデバイスがありますが、大半は別々のIGBTとダイオードがワンパッケージ化されています。ほとんどのメーカーは、接合部とケース間の熱抵抗を計算するために1つの熱抵抗を提供しています。これは簡易型のダイ温度の計算方法で、2つのジャンクション温度が関わると不正確な分析につながります。マルチダイのデバイスの場合、一般的に熱抵抗が異なり、2つのダイの電力損失も異なるため、個別に計算する必要があります。また、各ダイは互いに熱エネルギーを与えるため、相互作用も考慮しなければなりません。

 本論では、2つの成分の電力損失を測定し、IGBTとダイオードの熱抵抗を用いて平均およびピーク時のジャンクション温度を計算する方法を解説します。

mm0605_IGBT01.jpg 図1:TO-247パッケージのリードフレームに実装されたIGBTとダイオード

電力の計算

 電力を計算するためには、電圧と電流の波形を掛け合わせ、積分しなければなりません。瞬間的な電力は電圧と電流を掛けるだけで求められますが、そこから平均パワーを引き出すことは簡単ではないため、積分を使用してこれをエネルギーへ変換します。次に、さまざまな損失のエネルギーの総和を使用して波形全体の平均パワーを計算します。

 計算を始める前にターンオン損失、導通損失、およびターンオフ損失の境界線を定義しておくことが重要です。電圧波形の1部が省略されているか、逆に重複していると、計算にエラーが発生するためです。本分析では、損失の境界線として10%地点を使用します。これは一般的な方法ですが、5%や20%など他の地点でも損失の全ての成分に適用する限り使用できます。

 通常、波形は、形成される正弦波のピークで捉えられます。これはピークの電力損失です。平均パワーは、この値の50%です(電圧と電流にそれぞれ√2(ルート2)を掛けます)。

 一般的に電圧波形のピークにおいて、IGBTは導通状態でありますが、ダイオードは導通状態でありません。ダイオードの損失を測定するためには、モーターなどの誘導性負荷が必要であり、逆電流(Irr)が流れる時点で波形を捉える必要があります。

m0605_IGBT02.jpg 図2:IGBTターンオン波形 (クリックで拡大)
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