メディア

コネクタ/ケーブルの評価では、新しい概念もUSB Type-Cの登場で評価試験はどう変わる?(2)(3/5 ページ)

» 2015年10月20日 11時30分 公開

アイダイアグラムによるインターコネクトの評価

 2つ目の課題は「従来のパラメトリック測定の制約」である。伝送する信号は、チャネル内で減衰、反射、クロストークの3つの影響を受けることになる。これまでは、いくつかの独立したパラメータを測定し、それぞれの規定値と比較して合否判定を行っていた。このパラメトリック測定では、1項目でも規定値に適合しないと不合格と判定されていた。実際には、ある測定パラメータが規定値に適合せず不合格となっても、他の測定パラメータが十分なマージンを備えたケーブルの場合、実際にデータ伝送しても問題が生じないこともある。

 このため、合否判定にアイダイアグラムによるインターコネクトの評価方法が検討された。一般的には「Stressed Eye Diagram」解析と呼ばれている。具体的には、最悪のケースを想定し、その送信機特性を「Stressed」信号としてインターコネクトに入力して、出力端でアイダイアグラムを評価する。例えば、反射とクロストークが規定値を下回っても、減衰がある一定の水準を満たした場合は、合格判定となる。

photo 新たに採用されたアイダイアグラムによるインターコネクトの評価方法 (クリックで拡大) 出典:キーサイト

 USB 3.1ケーブル/コネクタコンプライアンス試験においても、Stressed Eye Diagram解析によるコンプライアンス評価手法が新たに採用された。前述の通り、リンク全体の性能を左右するシグナルインテグリティ(信号品質)の劣化要因として、「減衰」、「反射」そして「クロストーク」の3点を挙げることができる。コンプライアンス仕様ではこの3つの劣化要因を管理する。

 この3要因を表現するために、3つのパラメータがチャネルメトリックスとして定義されている。それは、Insertion loss fit at Nyquist frequency(ILfitatNq)、Integrated multi-reflection(IMR)、Integrated crosstalk(IXT)である。ILfitatNqは挿入損失の測定結果にカーブフィッティングを適用して計算する。IMRは挿入損失結果のリップルとして表すことができる。IXT雑音は差動信号ペア間の全てのクロストークの合計で定義することができる。

photo USB 3.1で新たに採用されたコンプライアンス評価手法 (クリックで拡大) 出典:キーサイト

 これらチャネルメトリックスに基づき、USB-IF(USB Implementers Forum)から提供されるUSB 3.1のスタンダードツールを用いて、合否判定を行うことになる。結果は、チャネルのアイの高さと幅で合否を判定する。

 測定の手順は比較的簡単だ。まず、差動ペアの全てのSパラメータの組み合わせ(全部で6通り)をENA Option TDRで測定する。次にSパラメータファイルをUSB 3.1スタンダードツールに読み込み、「Check Compliance」ボタンを押すだけで自動的に合否判定が行われる。

 USB Type-C向けは別のスタンダードツールが用意されている。USB 2.0 D+/D−の差動ペアも測定対象に含まれることになる。最終的には15個のTouchstoneファイルをスタンダードツールに取り込んで合否判定を行うことになる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.