連載
» 2015年12月03日 13時00分 UPDATE

覚えておきたい「電源測定」のきほん手順(1):部品選定から低電圧/高電圧回路測定まで

電源設計に求められる要件は、多くなっています。高効率/高電力密度、迅速な市場投入、規格への対応、コストダウンなどを考慮せざるを得ず、電源設計におけるテスト要件も複雑化しています。そこで、本連載では、3回にわたって、複雑な電源設計プロセスの概要と、プロセスごとのテスト要件について説明していきます。

[Varun Merchant(Tektronix),EDN]

 効率に優れ、安価で小型の電源を設計するエンジニアへのプレッシャーは、以前にも増して強くなっています。電源は、全ての電気製品、電子機器を支えるライフラインです。しかし、高効率/高電力密度、迅速な市場投入、規格への対応、コストダウンなど、設計エンジニアには純粋な設計以外にも強いプレッシャーがかかっています。考えなければならないことは数多くありますが、ここでは3つの章に分けて、複雑な電源設計プロセスの概要と、プロセスごとのテスト要件について説明します。

パラメータ以上の特性を得る必要

 部品/デバイスメーカーは設計エンジニアに対し、電源設計で必要な動作特性を含む、詳細なデータシートを提供しています。多くの場合、データシートで得られるパラメータのみから判断して部品を選択します。しかし、昨今の電源設計では、より厳格な仕様が増えてきたため、部品のデータシートに書かれているパラメータ以上の特性を得る必要が生じてきました。

 MOSFET、IGBT、ダイオードなど、重要なパワーデバイスを扱う場合、「最適化された重要なパラメータ」を選びます。最適化された重要なパラメータとは、オンステート、オフステートまたはAC特性です。次に、データシートに書かれている理想的な条件よりも厳しい、全ての温度レンジでコンポーネントをテストします。最後に、現実の条件で受動/能動部品をテストします。

試作での測定、まずは低電圧から

 設計サイクルの次のステップがプロトタイピング(試作)です。プロトタイプには不良が付き物です。回路基板の配線、ハンダ接合、部品配置などの不良、見つけにくい寄生成分など、さまざまな要因で不良になることがあるため、慎重に進める必要があります。電源投入前には、デジタルマルチメータを使用して全ての入出力段に短絡がないことを確認します。次に、低電圧のアナログ/デジタル回路をできる限り細かなサブ回路に分離し、プロトタイプのサブ回路ごとに電源を入れます。

 オンボードの電源を切り離し、負荷のある、なしで出力をテストします。次に、出力電圧とリップルが期待通りであることを確認します。最後に、プレシジョンDC電源を使用して個々の低電圧サブ回路に電源を供給します。オンボード電源だけに頼ってはいけません。オンボードの電源がマルチ出力の場合は、図1に示すような、複数の絶縁されているチャンネルを持ったDC電源の使用をお勧めします。

 現場でチェックする場合、プログラムされた設定と実際の測定出力が同時に表示できるDC電源を使用すると、DC段から大きな電流が流れていないことを素早く確認できます。

tt151203EDNTECH001.jpg 図1 マルチ出力のオンボード電源のテストには、独立したマルチ・チャンネルを装備したDC電源が必要。写真はケースレー製DC電源「2230J-30-1」

高電圧AC回路の電源投入

 低電圧回路チェックの次は、高電圧回路に電源を入れます。ここで初めてプロトタイプに高電圧が印加されることになります。初めて電源を投入する場合、低電圧段から高電圧段を切り離します。電流制限機能の付いたAC電源が有効です。常に低いAC電圧から始めることで、ハンダ不良、配線不良、またはプリント基板の設計不良による破裂などを回避できます。

 致命的な不良がなかったとして、適切な定格の差動プローブ、電流プローブでAC入力の電圧、電流を測定します。初めて電源を投入する場合、オシロスコープまたはパワーアナライザを使用し、電源を入れる前にログ機能をオンにしてAC入力のインラッシュ電流とトランジェントを取り込みます。高電圧電力段のチェックが終わると、低電圧制御回路を有効にすることで全体として機能させます。

 今回は、部品/デバイスの選択、特性評価、低電圧DC回路、高電圧AC回路のテスト方法について説明しました。やらねばならない作業はまだまだあります。次回、第2章では、デジタル/アナログ制御回路のデバッグ、パワー段のスイッチング特性、スイッチング/導通損失テスト、仕様チェックについて説明します。

【第2章へ】

筆者プロフィル

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Varun Merchant氏

テクトロニクス、メインストリーム・テクニカル・マーケティング・マネージャであるVarun Merchantは、ミッドレンジの無線テスト製品、パワー・コンバージョン製品をサポートしています。半導体業界で、製品開発と設計に4年間従事していました。カリフォルニア大学サンタバーバラ校で電気工学修士(MSEE)を、ニューヨークのスターン・ビジネス・スクールでMBAを取得しています。


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