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消費電力の計算方法Q&Aで学ぶマイコン講座(23)(2/4 ページ)

» 2016年02月24日 11時30分 公開

マイコンの電流

 マイコンの消費電流は大きく分けて動的電流(交流成分)と静的電流(直流成分)の2つに分けられます。この2つの電流値を算出して合算すると、マイコンの総消費電流になります。

 内部論理回路はシステムクロックに同期してCMOS(PMOSとNMOS)がON/OFFしながら動作します。この動作によって電流が発生します。一方、アナログ回路はクロックに同期しませんが、バイアス電流などが必要です。前者を動的電流、後者を静的電流と呼びます。システムクロックの周波数が高くなれば、単位時間内のCMOSのスイッチング回数が増えますので、動的電流は増えます。一般的に「mA/MHz」とか「μA/MHz」のように、1MHzあたりの電流値で示されます。静的電流は、アナログ回路に電源が供給されている限り流れます。クロックに依存しませんので、一般的には「mA」とか「μA」のようにクロック周波数に依存しない単位になっています。

 どちらの電流値も電源電圧に比例します。しかし、最近のマイコンは内部降圧されていて、マイコンに供給される電圧と内部回路が動作する電圧が異なりますので、一概に電源電圧が高くなったから消費電流が増えるとはいえなくなりました。内部降圧の構造や電圧値は各マイコンで異なるので、各製品のマニュアルを見てください。

 以上から、マイコンの総消費電流は、次の計算式で求められます。

総消費電流=
  動的(ダイナミック)電流×(動作周波数 MHz)+静的(スタティック)電流

動的電流

 図2にクロックに同期して動的電流が流れるイメージ図を示します。動的電流が生じる原因は大きく分けると2つあります。1つは寄生容量の充放電電流。もう1つは、CMOSの貫通電流です。

図2:動的(ダイナミック)電流 (クリックで拡大)

 論理回路は、複数のCMOSを配線層で接続して構成しています。配線層はシリコン上に平たんに作られているため、GND(接地)に対して寄生容量と呼ばれるコンデンサ成分を持ちます。基本的に物理的な構造により発生する(設計者が意図しない)コンデンサ成分です。PMOSがONすると寄生容量を充電し、NMOSがONすると放電します。この充放電によって電源からGNDに対しての電流が発生します。システムクロックに同期してこの充放電が繰り返されますので、周波数が高くなると電流値が増えることになります。

 また、CMOSの出力が切り替わる際に、PMOSとNMOSが中途半端にONしている時間が短時間ですが発生します。この時に、CMOSを貫通する電流が流れます。これも周波数に依存しますので動的電流になって現れます。

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