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» 2016年02月29日 00時00分 UPDATE

【講座】回路設計の新潮流を基礎から学ぶ:IoT用途に向けたワイヤレス・マイコン、1個のコイン型電池で20年の動作が可能

[PR/EDN Japan]
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 世界のエレクトロニクス企業が熱い視線を送るIoT(Internet of Things)市場(図1)。市場予測では、2020年には数兆米ドルといった極めて大きなビジネス規模に成長するという見方が多い。将来性は極めて高い。

図1 拡大するIoT市場

 IoTシステムを構成する上で欠かせないのは、数多くのセンサ・ノードだ。センサ・ノードを多くの場所に取り付けて、ある物理量(データ)を検出し、無線(ワイヤレス)通信技術を使ってクラウド・コンピュータに送る。集約したデータをクラウド・コンピュータで処理することにより、多くの有益な情報を得るという仕組みである。どのようなデータを集めて、どのような情報を手に入れるのか。そのアイデア次第で、さまざまな新しいサービスやビジネスが生まれると期待されている。

 従って、センサ・ノードには、センサで検出したアナログ信号をデジタル信号に変換する機能や、検出データをデジタル処理する機能、データをクラウドに送る無線(ワイヤレス)通信機能などが不可欠になる。しかも、こうした多くの機能を搭載しながらも、消費電力を極めて低く抑えることが求められる。前述のようにセンサ・ノードは数多く取り付けて使うもの。それぞれのセンサ・ノードが内蔵する電池を頻繁に交換しなければならないようでは、多くの人件費が掛かってしまう。従って、1個の電池で、15年や20年といった長い期間駆動できるように、センサ・ノードの消費電力を極めて低く抑える必要がある。

サブ1GHzの無線を利用

 IoTシステムのセンサ・ノードに向けた半導体チップを、既にさまざまな半導体メーカーが製品化している。こうした中、テキサス・インスツルメンツ(TI)は、業界で最も消費電力が低いワイヤレス・マイコン「CC1310」を製品化した(図2)。TIの無線通信ソリューション「SimpleLink™」に含まれる製品だ。

図2 CC1310の内部ブロック図

 消費電力は極めて低い。例えば、データ受信時のピーク消費電流は5.5mAで、競合他社品の約1/4。データ送信時(+10dBm出力)のピーク消費電流は12.9mAで、競合他社品の約1/3である(図3左)。スリープ時の消費電流についても0.6μAに抑えた。1個のコイン型電池で、最大20年の電池駆動時間が得られる。

図3 消費電力を大幅に低減
図左は、CC1310の消費電力の具体例。処理動作、通信動作、スリープ時のいずれの状態でも、消費電力を低減した。図右は、プロセッサのエネルギー消費効率を評価するベンチマーク「ULPBench」のスコアで、158と高い。

 無線通信で利用する周波数帯域は、いわゆる「サブ1GHz」である。具体的には、315MHzや433MHz、500MHz、779MHz、868MHz、915MHz、920MHzといった帯域を利用できる製品を用意した。データ伝送速度が50kビット/秒のときの受信感度は−110dBmで、0.625kビット/秒のときは−124dBmである。いずれも高感度なため、20kmを超える距離の通信が可能という。市街地全体をカバー範囲とするIoTシステムを構築できる。用途としては、ビル・オートメーション機器やFA機器、セキュリティ・システム、スマート・グリッド、ワイヤレス・センサ・ネットワークなどを挙げている。

3つのプロセッサ・コアを搭載

 CC1310には、3個のプロセッサ・コアを搭載した。1つは、ユーザーが利用できるメインCPUコア「ARM Cortex-M3」。2つ目は、無線通信機能を担当するプロセッサ・コア「ARM Cortex-M0」。3つ目は、センサで検出したアナログ信号のデジタル変換などを担うセンサ・コントローラを構成する16ビット・マイコンである。

 ARM Cortex-M3は、消費電力を低く抑えたと同時に、演算処理性能も高い。CPUコアの処理能力を評価するベンチマーク「EEMBC CoreMark」のスコアは142、エネルギー消費効率を評価するベンチマーク「EEMBC ULPBench」のスコアはクラス最高の158である(図3右)。動作周波数は最大48MHzである。

 ARM Cortex-M0は、RF処理部を構成するプロセッサ・コアだ。RF処理部は、このプロセッサ・コアのほかに、A/DコンバータやデジタルPLL回路、DSPモデムなどで構成した。ARM Cortex-M0を使ってソフトウェア無線を実現している。ハードウェアによる無線通信回路ではなく、ソフトウェア無線を採用したメリットは大きい。例えば、周波数帯域が周囲温度によってずれてしまうといった現象をデジタル的に補正することが可能になる。この結果、外付けのフィルタ回路を狭帯域にできるというメリットが得られる。

 センサ・コントローラを構成する16ビット・マイコンは同社独自のコアである。消費電力が極めて低いことが特長だ。A/Dコンバータを介したセンサ検出データの読み取りのほか、I2C/SPIインタフェースを介した読み取りも可能だ。16ビット・マイコンのほか、200kサンプル/秒の12ビット分解能A/Dコンバータやアナログ・コンパレータ、定電流源、時間/デジタル・コンバータなどで構成した。

微細化が低消費電力化に貢献

 業界最小の消費電力を実現できたポイントは大きく分けて2つある。1つは、製造プロセスを微細化したことである。TIの従来品では、0.18μmルールのCMOS技術で製造していたが、今回は65nmルールのCMOS技術に微細化した。

 もう1つは、スイッチング方式のDC/DCコンバータを集積したことである。+3.3V入力を+1.8Vに降圧変換して、IC内部に供給する役割を担う。従来は、LDOレギュレータを使っていた。変換効率は、DC/DCコンバータの方が圧倒的に高い。その分だけ、消費電力の低減に成功したわけだ。スイッチング方式のDC/DCコンバータを使うと、放射ノイズが増加してしまうという懸念があるものの、この点については、十分に対策を打っているため、問題はないという。

モジュールや開発キットを提供

 CC1310を搭載した無線通信モジュールや開発キットも提供している。無線通信モジュールは、SMKとテレパワーが製品化する(図4)。SMKの製品は、920MHzを利用する特定小電力無線モジュールで、国内電波法の認可(技適)を取得済みである。

図4 無線通信モジュール
SMKとテレパワーの製品である。

 この他、開発キットとしてTIは、「CC1310DK」を製品化している(図5)。ハードウェア(ボード)とソフトウェアからなる包括的な開発プラットホームで、価格は299米ドルである。

図5 開発キット
TIの「CC1310DK」。ボードとソフトウェアなどで構成される。

 今後IoT市場は、順調に成長すれば極めて大きくなるだろう。しかし、その成長を現実のものとするには、幾つかの条件をクリアする必要がある。その1つがセンサ・ノードの低消費電力化だ。従って、CC1310の製品化は、IoT市場の拡大に大きく貢献するはずだ。

【関連リンク】

※SimpleLinkはTexas Instrumentsの商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年3月31日

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