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» 2016年03月10日 11時30分 UPDATE

ブラシ付きモーターに置き換わりつつある:ブラシレスDCモーターの利点と課題解決例 (1/4)

ブラシレスDC(BLDC)モーターは、その技術的優位性と高効率性により、多くの既存アプリケーションにおいてブラシ付きモーターに置き換わりつつある。BLDCモーターの利点を紹介するとともに、制御が複雑なBLDCモーターへの移行課題を解決する1つの例を紹介する。

[Adriano De Rosa(Micronas),EDN]

 半導体集積化における幅広い選択肢は、同期モーターをベースとする分散化インテリジェント小型駆動ソリューションのアプリケーション分野が、かつてないほどに成長する糸口を見つけつつある。それらの中には、ブラシレスDCモーター(brushless DC motor/BLDC)、永久磁石同期モーター(permanent magnet synchronous motor/PMSM)およびステッピングモーターが含まれる。これらのモーターは、その技術的優位性と高効率性により、多くの既存アプリケーションにおいてブラシ付きモーターに置き換わりつつある。自動車が、最も代表的な例だ。

 自動車部品は通常、低コスト、小型、軽量および信頼性を実現する必要があり、同時に高い効率性を示さなければならない。排気物質を減らし、燃料消費を低減することも重要だ。さまざまなモーターで働く駆動方式の必要性、効率やシステム設計、さらにネットワーク接続オプションからくる過酷な要求がアクチュエーター用電子システムに対する主要なインパクトになっている。

BLDCモーターの市場

 米国には多数のBLDCメーカーがある。ほとんどのメーカーは、今なおブラシ付きDCモーター、ステッピングモーターなどのモーター技術に重点を置く。一方で、それらメーカーの多くが新製品開発の基盤としてBLDCモーターを確立しつつある。特に小型BLDCモーター向けなど特定分野向けBLDCモーターのメーカーが多数あるが、市場に出されている集積化電子制御ソリューションは多くない。インテリジェント電子システムと低コスト化手段とを共に組み込んだBLDCモーターが製造できるメーカーは、今なお、見いだすのが容易ではない。

 BLDCモーター技術の利用度が増大しつつある。燃料や冷却水のポンプ、HVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning、暖房換気空調)、湾曲照明、ヘッドランプ光軸調整など多くの車両機能がブラシ付きDCモーターあるいはステッピングモーター技術からBLDCモーター技術に置き換わりつつある。確かに、このことは、全てのブラシ付きDCモーターあるいはステッピングモーターがBLDCモーター技術に置き換わることの一般的な証明ではない。しかし、モーターを制御するための電子システムがモーター自体の価格に比較してあまりに高価過ぎるという強力な主張は、今や日毎に有効性を失いつつある。さらに、BLDCモーターの優位性は、他のシステム特性(表1参照)を顕著に強化できることにもある。この点はインテリジェントモーション制御への革新を予見させる。

ブラシレスDCモーターの利点

 BLDCモーターには、表1に示すように、対抗モーター技術に比べて幾つかの利点がある。

表1 ブラシレスDCモーターの利点(要約)
BLDCモーターの利点 内容
モーター構造の小型化と軽量化 ローターが強力な永久磁石であることとブラシ機構が不要なことから、BLDCモーターは、ブラシ付きモーターおよび誘導ACモーターのいずれと比較しても、より小型、より軽量。
モーター効率の向上 永久磁石を利用するため、ローターにコア損失がない。さらに、モーター効率は専用転流アルゴリズムにより向上可能。
熱パフォーマンス 発熱素子であるモーター巻線がモーター外側(インランナー型)になるため、熱的結合が良好。
広いモーター速度範囲 BLDCモーターには速度を制限するブラシシステムがない。100,000rpm(例えば、歯科用ドリル)を超える速度用として設計されてきたものだ。低速の制御は、適切な転流アルゴリズムの適用により一層容易。
モーターダイナミック応答時間の向上 ローターに銅巻線を備えるブラシ付きモーターに比べ、ローターの慣性がより小さい。
モーターのメンテナンスが不要で、長寿命 転流システムの交換や検査が不要。
高周波干渉(RFI)が小さく、EMCが良好 ブラシ付きDCモーターと違い、BLDCモーターにはRFIを発生するブラシがない。
転流制御 転流電子システムは、さまざまな転流方式に適用可能であり、コストを増やすことなくソフトウェア的に対象のシステムとモーターに適応化できる。これによりトルク特性の巧みな制御が可能(例えば、転流角度の調整によって)。
自己診断機能を有する“インテリジェントモーター” 組み込み電子システムにより、プログラマブルな診断機能が実現でき、例えば、システムパラメータを自動調整するためのモーター特性が特定できる。
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