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» 2016年03月14日 09時00分 UPDATE

電源用部品技術特集:設計しやすい非絶縁型AC-DCコンバータIC――電源設計ノウハウの蓄積でかなえた高効率と低ノイズ

複雑化する電源回路の設計は、一筋縄ではいかなくなった。そうした中で、高性能な電源回路を容易に実現するには、さまざまな工夫が施された優れた電源ICを使用するのが最良の策だ。そこで今回は“電源回路設計の知識や経験が少ないエンジニアでも、高性能な電源回路が設計できる”をコンセプトに開発された電源製品を紹介していこう。

[PR/EDN Japan]
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 電源回路は、電子機器にとって必要不可欠な存在だ。商用電源の交流(AC)電圧やバッテリーの直流(DC)電圧を、所望のDC電圧に変換して、LSIやモーター、センサー、ディスプレイなどに供給する役割を果たす。従って、電子機器のエンジニアが何らかの製品を開発する際には、電源回路を必ず設計しなければならない。

 ここで問題になるのは、電源回路はすべての電子機器に欠かせない機能であるにもかかわらず、その設計難易度はかなり高いことである。なぜならば、電源回路は「アナログ技術の塊」だからだ。電源回路を構成する電子部品の選択や配置が適切でないと、期待した変換効率が得られない。その結果、放熱対策が困難になったり、バッテリー駆動時間が短くなったりする事態を招く。さらに、ノイズによるトラブルが発生する危険性もある。実際のところ、電源回路で発生したノイズがディスプレイに悪影響を与えて画質が劣化してしまったり、無線通信機の受信回路に混入して受信感度を落としてしまったりするケースが後を絶たない。

 しかも、デジタル化の進展によって、電子機器メーカーに勤務するアナログ・エンジニアの絶対数は減少する傾向にある。アナログ・エンジニアを新たに育てようとしても、非常に長い年月がかかる。

電源ICの工夫で問題解決へ

 こうした電源回路に関する問題をいかに解決するのか。その1つの方策が電源ICの工夫だ。電源ICそのものの性能を高めると同時に、その使い勝手を向上させて電源回路を設計しやすくする。そうすることで、電源回路設計の知識や経験が少ないエンジニアでも、高性能な電源回路を設計できるようになるわけだ。

 すでに、こうした取り組みは、さまざまなアナログ/電源半導体メーカーで進められている。国内の電源半導体メーカーであるサンケン電気も負けていない。この取り組みでは、業界をリードしている。

 今回、サンケン電気は非絶縁型チョッパー電源に向けたAC-DCコンバータICを製品化した(図1)。降圧(バック)型と極性反転(インバーティング)型の電源回路を構成できる。AC85〜264Vのユニバーサル入力に対応する。最大出力電力が3W程度の「STR5A464D/STR5A464S」と1.5W程度の「STR5A462D/STR5A462S」の4製品を用意した。

発売した製品が対象とする非絶縁型チョッパー電源は近年さまざまな用途に使用されている。絶縁型電源と比較して部品点数の削減が可能で、電源回路の実装面積を小さくできるからだ。具体的なアプリケーションは、IHクッキングヒーターや電気ケトル、コーヒーメーカー、掃除機、冷蔵庫のコンプレッサー用電源、炊飯器、給湯器、エアコン用ファンモーター電源、電動工具などである。

tt160314SANKEN001.png 図1:非絶縁型チョッパー電源向けAC-DCコンバータIC
全部で6製品を用意した。すでに、STR5A464D/STR5A464SとSTR5A453Dは量産が始まっている。STR5A462D/STR5A462S/STR5A451Dについてはサンプル出荷中である。

アプリケーション・サポートのパイオニアとして電源技術を培う

 これら4つの電源ICの特長は、高効率で低ノイズの非絶縁型チョッパー電源を手軽に実現できる点にある。例えば、変換効率については「軽負荷から重負荷のすべての負荷範囲において、競合他社品に比べて3〜5ポイント高められる」(同社)という(図2)。

tt160314SANKEN002.png 図2:変換効率
広い負荷範囲にわたって80%を超える変換効率を確保した。競合他社品に比べて、変換効率は3〜5ポイント高い。

 こうした高性能な電源ICを実現できた背景には、アプリケーション・サポートのパイオニアとして培った技術力がある。サンケン電気は1980年代後半に、ブラウン管テレビに向けた電源IC市場に競合他社に先駆けて参入した。その際に、市場拡大の原動力となったのがFAE(フィールド・アプリケーション・エンジニア)の存在だ。「FAEが顧客へ密着し、電源設計をサポートすることで、問題点の本質をつかめた。当時のテレビ・メーカーは、電源回路で発生したノイズが画面に入り込んでしまうトラブルに頭を悩ませていた」(同社)という。

 同社は、新たな電源回路技術を開発することで、このトラブルを解決した。具体的には、擬似共振や電流共振といったソフトスイッチング技術である。この技術は、共振現象を利用して電圧もしくは電流がゼロのタイミングでスイッチング素子(パワーMOSFET)のオン/オフを切り替えることで、スイッチング損失を低減するもの。変換効率を高めると同時に、ノイズの発生を抑えられる。

 さらに同社は、電源ICに最適な製造プロセス技術も新たに開発した。耐圧が高いスイッチング素子と、耐圧が低い制御回路を1チップに混載するBCD(Bipolar CMOS DMOS)プロセス技術である。この製造プロセス技術を使えば、外付け部品を減らせる上に、電源性能に大きな影響を与える回路をIC内部に取り込める。その結果、電源ICを使った電源回路の設計難易度を大幅に下げることに成功したわけだ。

 こうした取り組みがキッカケとなり、サンケン電気は国内外のブラウン管テレビ向け電源IC市場で業界トップクラスのシェア獲得に成功した。その後、薄型テレビの世代に移行したが、蓄積した技術力を生かし、現在でも大きな市場シェアで業界をリードしているという。

「グリーンモード」を搭載

 こうした技術力は、今回の電源ICにも存分に生かされている。製造技術は、最先端のBCDプロセスである。これを適用することで、耐圧が700Vと高いパワーMOSFETと電源制御回路を1チップに集積することを可能にした。

 電源制御回路には、全負荷範囲にわたって高い変換効率を確保できる「グリーンモード」を採用した。重負荷時は、PWM(Pulse Width Modulation)方式で制御する。スイッチング周波数は60kHz一定だ。負荷が軽くなると、周波数可変型のPWM方式に切り替え、スイッチング周波数を徐々に下げていく。最終的にスイッチング周波数は25kHzまで下げる。その状態から、さらに負荷が軽くなると、周波数25kHz一定の間欠発振方式へと移行する。無負荷時の消費電力(入力電力)はかなり低く、競合他社品の1/3〜1/4である(図3)。こうして、スイッチング損失を減らすことで「全負荷範囲にわたって80%を超える変換効率を実現した」(サンケン電気)という。

tt160314SANKEN003.png 図3:無負荷時の入力電力(消費電力)
競合他社品に比べて1/3〜1/4と低い。

 PWM方式から、間欠発振方式へ移行する各制御方式間の切り替えは自動的に行う。どのタイミングで切り替えれば、出力電圧のリップル(ノイズ)を増やさずに変換効率を最大化できるのか。そのタイミングの設定に「これまでさまざまな電子機器メーカーの電源設計に携わってきた経験やノウハウが生きている。変換効率とリップル、スイッチング周波数のバランスをトータルに評価して電源ICを設計した」(同社)という。

電源設計のサポート体制を整備

 今回発売した4つの製品の詳細は以下の通りだ(図1)。STR5A464D/STR5A464Sに集積したパワーMOSFETのオン抵抗は13Ωで、最大出力電流は0.2A程度。出力電圧は降圧型を構成した場合、外付け抵抗を使って11〜27Vの範囲で設定できる。パッケージは、STR5A464DがDIP8封止、STR5A464SがSOIC8封止である。

tt160314SANKEN001.png 図1:非絶縁型チョッパー電源向けAC-DCコンバータIC(再掲)

 STR5A462D/STR5A462Sに集積したパワーMOSFETのオン抵抗は26Ωで、最大出力電流は0.1A程度である。出力電圧は降圧型を構成した場合、11〜27Vの範囲で設定できる。パッケージは、STR5A462DがDIP8封止、STR5A462SがSOIC8封止である。4製品とも、電流検出用抵抗やエラーアンプ(誤差増幅器)を搭載しているので、これらICを使って電源を構成すると、部品点数を大幅に削減できる。保護機能は、過負荷保護や過電圧保護、ヒステリシス付き過熱保護を備える。

 このほか、22W程度と大きな出力電力に対応した非絶縁型チョッパー電源向けAC-DCコンバータIC「STR5A451D」「STR5A453D」も用意している。2つのチップ構成とすることで大きな出力電力に対応した。耐圧は650V。STR5A453Dは、オン抵抗が1.9ΩのパワーMOSFETを内蔵し、出力は24V/0.9A。STR5A451Dは、オン抵抗が4.0ΩのパワーMOSFETを内蔵し、出力は24V/0.7Aである。パッケージはいずれもDIP8だ。

 これらの電源ICを使って電源回路を設計する際のサポート・サービスも充実している。電源ICの評価に向けたリファレンス・ボードと電源設計例を製品ごとに準備し、サンケン電気サイトで公開中だ。インダクタの選定をサポートする無償Web窓口も用意した。所定の記入フォームに電源の入出力条件を入力し送信すると、経験豊富なFAEが電源仕様に合ったインダクタンス値を算出して回答する。複数の半導体メーカーが提供しているような、サイト上で自動計算できるソフトに比べると、すぐに結果が算出されない煩わしさはある。しかし、設計上の係数が分からなかったり、不適切な値が記載されたりしていても、FAEがそれを見つけて適正な係数や値に変更し、その計算結果を提供できる。これは大きな魅力といえるだろう。非絶縁型電源だけではなく、同社の得意としているLLC、PWM、擬似共振のサポート窓口も準備されている。

 サンケン電気は、今回紹介したAC-DCコンバータICなどを2016年4月20日〜22日に千葉市の幕張メッセで開催される「TECHNO-FRONTIER 2016」(テクノフロンティア2016)に出展する予定だ。

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提供:サンケン電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年4月13日

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