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直線性の高いRF電力検出器Design Ideas 信号源とパルス処理(2/2 ページ)

» 2016年03月17日 11時30分 公開
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実効電力を直流電力に変換するIC1を活用

 対応策はもう1つある。実効電力を直流電力に変換するRF電力モニターIC(IC1)を使う方法だ。IC1は正弦波や方形波などの入力波形に依存せず、実効値が同じならば、出力の直流電力は同じ値になる。このため変調方式が複数存在するシステムでも、波形に依存しないRF電力測定機能を組み込める。このIC1に乗算器(IC2)を付け加えれば、入力電力(W)に比例した出力電圧を得られる。この電力メーターの利得とオフセットは、オペアンプを使うことで簡単に調整可能だ。

 乗算器(IC2)は直流出力を2乗し、入力インピーダンスが50Ωの回路における消費電力に対応した電圧を生成する。具体的には、IC1の実効値出力を2乗し、10で割った値を出力する。IC3の利得Gは(R5+R6+R7)/R5で、最大6である。

 この利得は、IC2におけるスケーリング効果を打ち消すために必要な利得10よりは若干低い。従って、この回路のダイナミックレンジは広くなっている。オフセットは、ポテンショメーターR2で簡単に調整することができる。

 図3は、この電力メーターを使った測定結果である。周波数が100MHzと900MHzの際の入力信号電力とそれに対する出力電圧の誤差をプロットした。

図3:図1の回路を使った場合の入力信号電力対出力電圧特性 (クリックで拡大)
図1の回路を使えば、実効値に応じた出力電圧を得られる。波形には依存しない。

 なお、このRF電力モニター回路は2.7GHzまで対応できる。

Design Ideas〜回路設計アイデア集

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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