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» 2016年04月25日 00時00分 UPDATE

宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎:第20回 マイコンの内蔵メモリにはどんな種類があるの? 何を選べばいいの?

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NANDフラッシュが主流

Q:マイコンが内蔵しているメモリは、DRAMではなく、フラッシュ・メモリなのですか?

A:そうですね。今のマイコンは、フラッシュ・メモリを内蔵している製品が圧倒的に多いですよ。でも、それとは違うメモリを搭載している製品もありますよ。


Q:フラッシュ・メモリが多いのですね。でも、フラッシュ・メモリというと、USBメモリとか、SSDとか、カメラやスマートフォンのメモリカードが代表的でしょう。それだと、DRAMの代わりではなくて、ハードディスクに似ていませんか。

A:その考え方は間違っていませんよ。フラッシュ・メモリには大きく分けて2種類のものがあり、用途や使い方が違うのです。今言った、USBメモリ、SSD、メモリカードで使っているのはNANDフラッシュです。そして、マイコンの内蔵メモリとして使われているのはNORフラッシュです。


Q:NANDとNOR? メモリの中にロジック回路が組み合わされているのですか?

A:そうではありません。ちょっと細かい話になりますが、NANDフラッシュのメモリセルは、複数のトランジスタを直列に接続した形になっていて、ロジックICのNANDゲートに似ているのでNANDフラッシュと名付けられました(図1)。メモリとNAND回路と組み合わせたわけではないですし、メモリにロジック動作をさせているわけではありません。

photo 図1 NANDフラッシュとNORフラッシュのセル構成

Q:NORフラッシュはどうなのですか?

A:NORフラッシュのメモリセルは、複数のトランジスタを並列に接続した形になっています。ロジックICのNORゲートにも似ていますが、もともとDRAMやSRAMではこのタイプの接続が使われていて、メモリとしてはごく普通のタイプです。フラッシュ・メモリでは、後から登場したNANDフラッシュと区別するために、この「普通の」タイプをNORフラッシュと呼ぶようになったのです。


Q:NANDフラッシュとNORフラッシュは、どう違うのですか?

A:NANDフラッシュは、直列接続に対してビット線と接地線はそれぞれ1本ずつですむので、記憶密度が高く、安価に大容量を実現できます。そのかわり、バイト単位ではアクセスできなくて、1KB、2KB、4KBなどのページ単位で読み出し/書き込みを行います。このように、まとまったデータを一度に扱うのはハードディスクによく似ており、大容量ストレージの用途に適しています。バイト単位では読み出せないので、主記憶には適しません。

 さらに書き込みの前に32ページ、64ページ、128ページなどのブロック単位で内容を消去しておくことが必要です。実際には、ページ単位で読み出し、ブロック単位で消去/書き込みという使い方になります。消去時に少しずつ特性が劣化するので、書き換え回数には制限があり、例えば最大10万回というように上限が規定されています。


Q:なるほど。では、NORフラッシュはどうですか。

A:NORフラッシュは、DRAMやSRAMと同じようにバイト単位でアクセスできるメモリであり、主記憶に適しています。そのかわり、各トランジスタに対してビット線と接地線が1本ずつ必要なので、記憶密度はNANDほど高くできません。

 書き込みの前にブロック単位で内容を消去しておくことが必要なので、実際にはバイト単位で読み出し、ブロック単位で消去/書き込みという使い方になります。書き換え回数は、例えば最大10万回です。


Q:それで、マイコンの内蔵メモリはNORフラッシュなのですね。フラッシュ・メモリと言っても、ずいぶん違うのですね。


NANDフラッシュ以外の内蔵メモリ

Q:フラッシュ・メモリではない製品では、どんなメモリを内蔵しているのですか。

A:プログラム格納用メモリとして昔から使われていたのは、マスクROMです。これは、半導体メーカがマイコンLSIを製造するときに、メモリ内容を全て固定してしまうものです。後から書き換えられない点は不便なのですが、量産時には最も低コストにできること、プログラム誤消去の危険や劣化による不良がないこと、超低電圧動作も可能なことなどから、まだまだ使われています。例えば、テキサス・インスツルメンツ(TI)のMSP430マイコン・シリーズには、わずか0.9Vの電源電圧で動作可能なMSP430C092があります。


Q:なるほど。他にはどんなものがありますか。

A:プログラム格納用メモリとしては、他にFRAMも使われています。

 FRAMは強誘電体物質を使った一種のキャパシタをメモリセルとして用いており、電源を切ってもデータが消えない不揮発メモリです。フラッシュ・メモリと違って書き込み前の消去は不要で、バイト単位で高速に読み出し/書き込みできます。その点で、ROMではなくRAMに分類されます。書き換え回数に上限はありますが、フラッシュ・メモリよりずっと多くなります。さらに、FRAMは読み出し/書き込み時の消費電力が小さいので、超低消費電力のシステムを実現できます。

 例えば、MSP430マイコン・シリーズには、FRAMを搭載したMSP430FR2x/4x/5x/6xなどのファミリがあり、高速性と超低消費電力を両立した製品として位置付けられています。


【関連リンク】

※CapTIvate、MSP430およびMSP432はTexas Instruments Incorporatedの商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年12月31日

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