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スイッチノードリンギングの原因と対策広い入力電圧範囲の高速DC-DCコンバーターで発生する(5/6 ページ)

» 2016年04月26日 11時30分 公開

スナバ回路

 スナバ回路(図6)は、リンギングのピークとともにエネルギーを減衰させる。スナバ回路の働きは、スイッチング電流ループ内の寄生インダクタンスとMOSFETの出力容量よって構成されるLCタンク(の共振)を減衰せることだ。図8は、適切に設計されたスナバ回路によってスイッチノードスパイクとともに振動回数が減少することを示す。「参考資料(2)」には非絶縁コンバーター用のRCスナバ回路の選択肢が記載されている。

図8:適切に選択したスナバ回路を使って、SW2ノードの負のスパイクおよびリンギングを減少させる

FETの選択

 MOSFETの特性が異なれば、スイッチノードリンギングの周波数とピークに著しい影響がある。

 リンギングに影響するMOSFET特性は、ボディーダイオードの逆回復電荷、出力容量COSSだ。加えて、MOSFETのゲート電荷(Qg)がMOSFETのターンオンとターンオフの時間を決める。小さいQgはより高速のターンオフを意味し、より大きいスパイクをもたらす。

レイアウト

 電力段のレイアウトは、良好なスイッチングコンバーターを設計するための最重要な要素の1つだ。スイッチング電流ループの寄生インダクタンスがリンギングの原因になるので、それを最小化することがDC-DCコンバーターのレイアウトに対する常に主要な目標だ。図9において、MOSFETのQL2とQH2、バイパスコンデンサーCOUTおよびセンス抵抗RSENSEのループ面積がスイッチング電流パスを構成する。このループ(図9では緑色で表示)は可能な限り小さくすべきであり、そのためにはループ構成要素を多層板の広いトレースで接続することだ。図9は、昇降圧電力段のレイアウト例を示し、昇降圧電力段でdi/dtの高くなるループをハイライト表示している。

 最適化すべき次に重要な要因は、ゲートドライバのトレース長だ。ゲートドライバの進行用と帰還用のトレースは、広くし、並行配置することが望ましい。加えて、ブートストラップ用バイパスコンデンサーは、ドライバのBOOTとSWピンへのスパイクを防止するため、ドライバICのできるだけ近くに配置すべきだ。

図9:di/dtの高いスイッチング電流ループを最小化することは、昇降圧電力段でのスイッチノードリンギングの原因となる寄生インダクタンスを最小化するために肝心なことだ

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