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» 2016年06月16日 11時30分 UPDATE

計測器メーカーから見た5G(1):今さら聞けない5G入門、要件実現に向けた新技術 (2/3)

[中村浩士(ローデ・シュワルツ・ジャパン),EDN Japan]

5Gの技術課題

 5Gにおいて、「超高速伝送」「大容量化」「低遅延」「同時接続数の増加」といった要件は、今後の5G時代に向け満たすべき重要な技術課題である。これらの要件を満たすためには、従来利用されている周波数帯の効率的な利用だけでは難しい。

 そこで、移動体通信には不向きであると考えられていた6GHz以上のセンチ波/ミリ波と、従来利用されている6GHz以下の周波数帯との併用、そして、1GHz以上とも言われている帯域幅を活用した通信が検討されている。

5Gでは、センチ波/ミリ波に利用が検討されている (クリックで拡大) 出典:Rohde & Schwarz

 しかし、センチ波/ミリ波帯では、電波の波長は短くなり遠距離まで信号を送信しにくいだけでなく、直線性が高いためビルの影などで通信が難しいといった問題点を抱えている。これまで利用されてこなかった周波数帯での、伝搬環境が電波伝搬に与える影響(マルチパスなど)には不明瞭な点が多い。この高い周波数を効率的に伝送する1つの方法としてMassive MIMOがあげられている。

 Massive MIMOは、多数のアンテナを用い高速通信を可能とする技術である。Massive MIMOにビームフォーミングを組み合わせ、アンテナ開口を広くし、かつ、ビームを絞ることにより、干渉を低減させ、より高い周波数で顕著となる伝搬ロスを補うことができる。いかにデジタル信号処理、アナログ部品のコストやトータルの消費電力を削減するが課題であり、現在広く研究が行われている。

新しい変調方式も検討

画像はイメージです

 また、LTEで利用されているOFDM(直交周波数分割多重方式)は、帯域外発射によるホワイトスペースなどでの利用課題や、Cyclic Prefix(サイクリックプレフィックス)のオーバーヘッドの課題があるため、UFMC、FBMC、GFDM、F-OFDMなどの新しい変調方式が検討されている。

 周波数、変調方式、ビームフォーミング、移動速度などの各種条件を変えて、都市部や郊外などさまざまな環境下で送受信のテストを実施し、モデル化するための研究が始まっている。伝搬特性の把握とモデル化を行うサウンディングと並んでエアインタフェースの選定が、5Gの要件実現のために必要な課題だ。

 これまで述べてきたように、センチ波/ミリ波の利用、広帯域化、新しい変調方式、Massive MIMO、ビームフォーミングなど新しい技術の導入が検討されている。しかし、これらの技術に対応できるケーブルやフィルター、アンテナなどを検討し、開発することも重要である。さらに、ネットワークへの接続数の増加や他分野との複合的な利用により、ユーザーが最適にネットワークを利用し、さまざまな分野に対応可能にするための新たなネットワーク形成の議論も始まっている。

 ネットワークの最適化を行うSDN(Software Defined Network)や、NFV(Network Function Virtualization)といった仮想化技術の検討も重要である。

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