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» 2016年09月07日 10時30分 UPDATE

SJ-MOSFETなど最新FETを適切に評価しよう:MOSFETの実効容量値を簡単に求める術 (1/3)

MOSFETのデータシートには、1つの測定電圧での出力静電容量値が記載されています。この値は、従来のプレーナ型MOSFETには有効でしたが、スーパージャンクションなど複雑な構造を用いる最新のMOSFETの評価には適していません。本稿では、最新のMOSFETの評価に有効な実効容量値を、より簡単に求める方法を探っていきます。

[Alexander J. Young(ON Semiconductor),EDN Japan]

プレーナー型MOSFETは単一点測定で十分だったが……

 MOSFETのデータシートには、優先順位に従って、1つの測定電圧での出力静電容量値が記載されています。この値は、過去の製品同士を相対的に比較するには十分でしたが、最新デバイスの評価に使用した場合は誤解を招く恐れがあります。より適切な製品の静電容量表記が必要とされているのです。

 MOSFETの出力静電容量は電圧に依存するので、単一点測定ではデバイスの静電容量特性を正確に表せません。カーブフィッティングを使用して、この単一点※参考文献1)からの出力静電容量の等式を見つけることができます。式1は25V時の静電容量に基づく例です。

数式(1)

 この式の積分値を、該当する等式における単一の静電容量値の代わりに使用できます。図1および図2に示すように、式1はプレーナーデバイスに対してはうまく機能しますが、スーパージャンクション(SJ)などの複雑な構造に対しては適合しないため、どの計算でも過剰な誤差が生じます。

図1 図1:式1で計算したプレーナー出力静電容量
図2 図2:式1で計算したスーパージャンクション出力静電容量

 新しいそれぞれのデバイス構造の静電容量特性によりよく適合する式を個別に作成する代わりに、実効静電容量の測定値を用いることができます。実効静電容量値は、所定の電圧に達するために、同じ充電時間と充電エネルギーを要する静電容量を表します。これらの値は静電容量の変化が考慮されたものです。式1の使用時に必要となるような複雑な数式や積分は不要です。

実効静電容量の使用

 実効静電容量は、エネルギー損失のモデル化や共振トポロジーの設計に使用できます。ハードスイッチング・トポロジーでのエネルギー損失をモデル化するとき、出力静電容量に蓄積されたエネルギーは、各スイッチング・サイクルで熱として失われます。スイッチング周波数が上昇すると、スイッチング損失が導通損失に近づき、効率に大きく影響を与えます。出力静電容量と電力損失の関係を式2※参考文献2,3)に示します。これはスイッチング損失の1つの要素にすぎませんが検討する必要があります。MOSFETを選択し、そのMOSFETのヒートシンクを設計する際は、スイッチングによる追加電力消費を考慮することが必要です。

数式(2)

 共振トポロジーでは、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を確実にするために実効静電容量を使用します。ZVSを達成するために、磁化電流とデッドタイムは、1個のMOSFETの出力静電容量を放電し、別のMOSFETを充電するのに十分な大きさでなければなりません※参考文献4)。磁化エネルギーが小さすぎると、回路はハードスイッチング・モードで動作し、共振トポロジーへの移行によって得られた効率が一部失われます。磁化エネルギーが大きすぎると、過剰なエネルギーが失われ、共振トポロジーの使用で得られた効率が低下します。ZVSを維持しながら、磁化エネルギーができるだけ低くなるように回路を設計するには、式3の通りMOSFETの実効静電容量を使用しなければなりません。

数式(3)

 この実効静電容量はデッドタイムΔtの計算にも必要です。

数式(4)
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