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» 2016年10月11日 11時30分 UPDATE

Design Ideas 計測とテスト:外付け部品が少ない低コストのピーク検出器 (1/2)

今回は、整流ダイオードが不要で、Texas Instrumentsの高速コンパレーター「TLC372」のオープンドレイン出力を活用した、外付け部品が少ない低コストの正側ピーク電圧検出器を紹介する。

[Anthony H Smith(Scitech),EDN Japan]

入力バッファは不要

 図1に回路、図2に特性を示す正側ピーク電圧検出器は、整流ダイオードが不要で、Texas Instrumentsの高速コンパレーター「TLC372」(IC1)のオープンドレイン出力を活用している。この検出器は、正負電源タイプ(図1)、正電源タイプ(後述)ともにシンプルかつ低コストで、バッファ付き低インピーダンスの出力を提供する。

 しかも、TLC372は、標準値が10TΩという高入力インピーダンスのため、入力バッファは不要である。図1のように、オペアンプIC2Aから得られるピーク検出器の出力電圧は、コンパレーターに帰還信号として印加され、入力信号の振幅を比較する基準レベルを提供する。最初に入力信号VINを印加したときには、ピーク電圧保持容量C1の電圧は0Vで、VOUTAも0Vである。

図1:正側ピーク電圧検出器(正負電源タイプ) (クリックで拡大)
コンパレーターとデュアルオペアンプという、わずか2つの能動デバイスで構成している。

 入力電圧が出力VOUTAよりも正側になると、コンパレーター内部の出力MOSFETがオンになって、R1を通して電流を引き込む。R2が比較的大きいとすると、充電電流がIC2Aの出力からC1に流れ込む。入力信号の何サイクルかにわたって、C1上に電荷が蓄積され、VOUTAが上昇して、VINのピークレベルを若干超える点まで達する。VOUTAがVINよりも若干大きい限り、IC1の出力MOSFETはオフ状態にとどまり、C1にそれ以上の電荷が蓄積されることはない。

 その結果、C1の蓄積電荷が、R2を通り、さらにバイアス電流パスを通って、IC2Aの逆相入力に向かって放電する。それにつれて、C1上に蓄積された電荷が放電し始める。VOUTAは、VINのピークレベルよりわずかに低くなるまで、徐々に低下していく。そこで、VINの次の正側ピークがコンパレーターIC1を始動し、IC1がR1を通して電流を引き込み、C1に電荷を補給する。

 このプロセスにより、入力電圧の正側ピーク値に極めて近い直流電圧がVOUTAに発生する。R1、R2、C1は、VOUTA上に現れるリップル電圧を抑える。

 IC2Aの逆相入力は仮想接地電位に保たれているので、IC1の出力MOSFETがオン状態のときは、R1にかかる電圧は負電源電圧−VSにほぼ等しい。このため、R1の値が小さければ、比較的大きな電流パルスがC1に注入され、回路は入力電圧が突然増大しても迅速に応答することができる。つまり、「高速アタック応答」が得られるのである。しかし、R1が小さすぎると、VOUTA上の正方向に変化するリップルが過剰になり、VINのピーク値付近で発振してしまうことがある。

約50Hzから500kHzまでの周波数範囲で良好に機能

 R2に対して、C1は回路の遅延時間を決定する。比較的大きな容量を用いれば、VOUTA上の負側に変化するリップルが最小化され、低周波パルス列や、低デューティサイクルパルス列、あるいは両者を取り扱うのに好都合である。

 しかし、C1を大きくしすぎると、入力電圧が急減したときに、検出器の応答が鈍くなる。C1もまた、高速応答に影響するのである。例えば、容量を2倍にすると、回路が入力電圧のピーク値をキャッチするのに要する時間は2倍になってしまう。

図2:ピーク信号レベルと出力電圧誤差を3つのピークレベルにプロットした周波数特性 (クリックで拡大)
表1:正弦波に対する周波数特性 (クリックで拡大)

 コンパレーターIC1の帰還パスにオペアンプIC2Aが入っているため、IC2Aのオフセットと誤差は検出誤差に影響しない。低周波から中程度の周波数で、ピーク検出の総合誤差は、コンパレーターの入力オフセット誤差だけで決まる。高周波では、コンパレーターの応答速度が重要なファクターになって、VOUTAの低下を生じ、周波数が高くなるほど著しくなる。

 このような制約があるものの、ピーク検出回路は、約50Hzから500kHzまでにもわたる周波数範囲で良好に機能する。図2と表1は、この回路の対正弦波入力の周波数特性で、最終出力電圧VOUTBの誤差を入力電圧VINの3つのピークレベルに対して示している。

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