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» 2016年12月06日 11時30分 UPDATE

Wired, Weird:電源修理のコツ ―― 発熱部品と空気の流れ (1/3)

今回は、“電源修理のコツ”を紹介したい。電源は「電解コンデンサーを全て交換すれば、修理できる」という極端な話もあるが、効率よく確実に電源を修理するためのポイントを実例を挙げながら説明していこう。

[山平豊(ケイティーエス),EDN Japan]

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電解コンデンサーを全て交換すれば電源は修理できる!?

 筆者も今月で満65歳を迎え本格的に定年を考える時期になった。しかし、今すぐ修理の仕事を止めると顧客に迷惑を掛けることになる。今まで知り得た修理のノウハウを伝授し、修理の仕事を引き継ぎたいと思うが、なかなか良い人材には巡り会えない。取りあえず、不具合解析や修理のエンジニアを育成すべく、この連載を通じて修理のノウハウを公開している。

 さて、依頼される修理の中で、特に多いのが電源ユニットの修理と電源回路を搭載した基板の修理だ。20年ほど前の話だが、ある修理担当エンジニアから『電解コンデンサーを全て交換すれば電源は修理できる』という話を聞いたことがある。実際、修理できるかもしれないが、電解コンデンサーを全取っ替えすれば、部品代も作業工数も多くなり、修理価格が上がってしまう。この話を聞いた当時も「新品を買った方が安くなるだろう」と思った記憶がある――。

 というわけで、今回は、全ての電解コンデンサーを交換せずに、電源回路の修理を安価に、確実に行うコツを伝授したい。

2台の電源の故障原因を探そう

 電源を修理するポイントを分かりやすく伝えるため、2つの似たような電源の修理例を説明していきたい。例に挙げる2台の電源はいずれも大手メーカー製の電源で、AC100〜200V入力で出力は5Vと24Vだ。

 1台目の修理依頼書には『電源の出力が安定しない』と書いてあった。AC100Vを通電しDC出力を確認したら確かに出力電圧のふらつきが大きく電圧が安定しなかった。なお、無負荷での消費電力は2.5W程度だった。

 電源の修理は、一次電源がどのように制御されて二次電源が生成されるのかという基本的な電源回路の動作をすれば、ある程度の経験は必要だが難しくはない。まずは電源のカバーを開け電源基板の部品構成を確認しよう。図1に電源基板の部品面の写真を示す。

図1:電源基板の部品面 (クリックで拡大)

 図1で電源全体の構成が分りやすいが左側の中央の基板が焼けて変色しているのが目立つ。右側の上側の3ピンのコネクターはAC電源入力、下側の7ピンのコネクターはDC出力だ。また基板右側に4個のコイル、左側に3個のトランスがある。変色している左側中央部には電源制御するICがある。基板の変色でこの周辺の温度が上がっていることが容易に想像できる。

 電源の故障原因の80%以上は電解コンデンサーの容量が抜けやESR(直列等価抵抗)の低下だ。電解コンデンサーは周囲温度が高くなると劣化しやすくなる。つまり不良部品を見いだす着眼点は『電解コンデンサーの実装環境』にある。周囲に発熱部品がないか? 周辺の空気の流れが確保されているか? ということがチェックするポイントだ。

 図1を再度見てみよう。図1の右側には発熱部品は少なく出力端子が近いので、外部との空気の流れが確保されており、電解コンデンサーは劣化しにくい環境にある。しかし図1の左側には多くの発熱部品があり、トランスや放熱板があって風が流れにくい。この場所に実装された電解コンデンサーが劣化しやすいという目星が付く。次のページにハンダ面の写真(図2)を示す。

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