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» 2017年02月28日 11時00分 UPDATE

中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(5):フェライト(5) ―― 磁気回路の基本式 (1/2)

今回は磁性体をコアとして使用した場合について考察していきながら、磁気回路の基本式を紹介していきます。

[加藤博二(Sifoen),EDN Japan]

 前回の電子部品としてのフェライトの中で紹介した、

  1. フェライト自身に寿命はないが周辺部品は温度の影響を受けること
  2. 特性曲線群は設計条件とフェライトコア試験条件を結び付けるものであること

などはフェライトの知識として覚えておいてください。

 今回は磁性体をコアとして用いた場合について考えていきます。最初に考えなければならないのはコアの磁気飽和ですが、そのためにはコアの最大磁束密度Bmを計算しなければなりません。

 ファラデーの電磁誘導の法則によれば、
「1つの回路に生じる誘導起電力(誘起電圧)の大きさはその回路を貫く磁界の変化の割合に比例する」とありますので1T(ターン)当たりの誘起電圧を式で表せば1式になります。

(E(t):誘起電圧、N:巻回数、φ:磁束、Ae:実効断面積、B(t):磁束密度)

 1式をtについて積分し、積分定数を0としたものが2式です。

 この式は磁束の時間変化と電圧の時間変化を結び付けるものですから、電圧を加えた時の磁性体中の磁束変化を求められ、E(t)が正弦波の場合には3式になります。(Vac:実効値電圧)

 ここでBmはB(t)の最大値(0-P)であり、ωは角周波数(=2・π・f)です。
 また、DC電圧E(Vdc)をΔtの期間印加した場合の磁束密度の変化幅ΔBは同様に4式で表すことができます。電圧時間(ET)積といわれる時もあり、スイッチング電源などのDC磁気回路で多用されます*1)

*1)一般的な表現として、B〇〇と表記した場合は交流磁束密度の最大値(0-P)を指し、ΔBの場合は磁束密度の振幅(P-P)を指します。

 しかし、3式や4式をみると、磁束を扱う式なのに磁界の強さと磁束を結び付けるμ0やμSが式には現れてきません。この点について簡単に検討します。

 励磁電流Iと磁束φの関係は5式で表されます。(μ=μ0・μS l:磁路長)

 インダクタンスの定義は単位電流当たりの鎖交磁束数であり、Nターンの時は6式で表されます。

 電圧EによるインダクタンスLの電流Iの変化ΔIはΔI=(E/L)Δtですので*2)これらを5式に代入します。

*2)電流の時間変化の式

 インダクタンスの定義よりL・I=N・φ 両辺を時間微分して、ファラデーの法則を適用すると、L(dI/dt)=N(dφ/dt)=E(t)、あるいは、ΔI=(E(t)/L)Δtが得られます。


 7式は4式と同じです。つまり、磁束φはμに比例して変化しますが、同時にL値もμに比例して変化します(5式、6式)
 このため、励磁電流が逆方向に変化しますのでΔφと電圧の間には材料依存性がなくなります。

 次に磁気回路の計算に必要な式について考えます。

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