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» 2017年06月19日 11時00分 UPDATE

信号と電源の絶縁をワンチップで:完全統合型の信号/電源アイソレーターを用いた低放射の実現 (1/4)

絶縁を行うと、コモンノード電流の大きなリターンループが生じ、絶縁システムで放射が起きる。今回の記事では、完全統合型の信号/電源絶縁ソリュ−ションを使用して放射を小さくする方法について説明する。

[Abdullah Raouf(Texas Instruments India), Koteshwar Rao, Anant S Kamath(Texas Instruments),EDN Japan]

信号と電源両方の絶縁をワンチップに集積

 絶縁は、システムの2つの部分の間で信号と電力の伝達を行いながら、直流(DC)と不要な交流(AC)の接続を阻止します。絶縁は、作業者や低電圧回路を高電圧から保護する他、ノイズ耐性の向上、通信サブシステム間におけるグランド電位差を処理するため、ファクトリーオートメーション(FA)、電力インフラなど広範なアプリケーションで使用されています。

 絶縁を行いたいという場合のほとんどで、信号の絶縁とともに、絶縁型の電源が必要になります。このような電源は、フライバック、プッシュプルDC-DCコンバーターを使用して絶縁トランスを駆動した後、2次側での整流によって作ることができます。しかし、現在では信号と電源両方の絶縁をワンチップに集積したコンパクトで効率の良い完全統合型ソリューションが提供されています。そのようなデバイスの概念ブロック図とピン配置例を図1図2に示します。

図1:信号/電源アイソレーターを備えた完全統合型ソリューション
図2:ワンチップ信号、電源アイソレーター (クリックで拡大)

 従来の方法では、サイド1からサイド2へ電力を伝達するため、ドライバとともにトランスが使用されます。これらのトランスをシングルICソリューション用に小型化したチップスケールトランスにより、SOパッケージの中に絶縁型電力コンバーターを内蔵できるようになりました。このようなトランスはサイズが非常に小さく、(直列抵抗を小さくするため)巻線は数回しか巻けず、多くの場合はコア(磁心)を使用しません。従って、そのようなトランスを駆動するDC-DCコンバーターは、数十メガヘルツ以上の周波数で動作する必要があります。同時に、トランスの1次側、2次側巻線は、パッケージ内で極めて接近しているため、トランスの2つのコイル間には大きな寄生容量が生じます。

 DC-DCコンバーターに高速過渡事象が生じると、この寄生容量を通じて、サイド1とサイド2の間にコモンモード電流が発生します(図3)。両サイドは完全に絶縁されているため、電流は基板レベルの寄生容量を通して大きなリターンループを形成します。この大きな電流ループが絶縁システムで放射の原因となるのです。別の見方をすれば、基板の2つの絶縁部は、ダイポールアンテナの送信器を形成します。

図3:絶縁バリアをまたぐコモンモード電流は大きなリターンループを形成

 オンボードトランスを使ったディスクリート実装では、コアトランスのインダクタンスが大きく、スイッチング周波数ははるかに低いため、放射は小さくなります。

 この記事では、完全統合型の信号/電源絶縁ソリュ−ションを使用してシステムの放射を小さくする方法について説明します。

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