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» 2017年06月26日 11時00分 UPDATE

マイコン講座 不良解析編(2):電気的不良位置特定解析とSEM/SAM観察の基礎 (2/4)

[菅井賢(STマイクロエレクトロニクス),EDN Japan]

EMMI

 EMMIはEMission Microscopeの略であり「エミー」と呼ばれる。電流が流れる際に発生する赤外線を光学的に検出し、不良箇所を特定する装置だ。OBIRCHのように、赤外レーザーなどの外的刺激を必要とせず、通常マイコンを使用するように、マイコンに通電し、電流が流れている状態で観測する。ただし、電流はダイ上のほとんどの部分に流れるので、その中でも特に電流値の大きい部分を局所化して表示する。したがって、大電流の流れる不良箇所を検出するのに使用される。逆に言えば、まんべんなく大電流が流れてしまうような不良を発見するには不向きなテストだと言える。

 主に検出できる不良は、低消費電力モード時の大電流不良やESD(Electro-Static Discharge)などでシリコン基板に流れ込む電流経路ができてしまった不良だ。

 低消費電力モード時にスペックよりも大きな電流が流れる不良の場合、どこかで不良の原因となる大電流が流れている箇所があるということなので、EMMIは威力を発揮する。低電力モードではマイコンのほとんどの回路が停止していて、消費電流の主な成分はリーク電流になる。この時、一部の回路で破壊が起きていて、その部分のみ大電流が流れていると、容易にEMMIで検出できる。(図2(a)

図2:EMMI観察結果例 (クリックで拡大)

 また、通常の使用状態でもESD(静電気放電)などにより、メタル層からシリコン基板に破壊(短絡経路)が生じて、大電流がシリコン基板に流れる場合でも、その箇所だけ他の部分よりも大電流が流れる。そのためEMMIで検出可能だ。

 筆者の経験では、EMMIで複数の不良箇所を検出することも可能だった。表面に出ていない不良箇所(例えばメタル層の下で破壊が起きている場合など)も検出できた経験がある。メタル層の下で破壊が起きている場合は、赤外線がメタル層の両脇から2カ所に分かれて出てくるので、メタル層の下部で不良が起きていることが特定できたわけだ。

 不良箇所は図2(b)のように、モニター上に発光箇所が現れて、位置を特定することができる。

EMMIでチェックする内容

低消費電力モード時の消費電流過大、リーク電流過大、ESDなどの原因でシリコン基板に大電流が流れる場合などの過大電流の不良箇所の特定。

補足説明:OBIRCHは主に配線上の異常、EMMIは配線やMOSからウェル(Well)や基板に対する不良を検出する。したがって、不良モードによっては、どちらかのテストだけで不良原因を判断できる場合もある。


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