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» 2017年08月04日 08時00分 UPDATE

電池管理IC、双方向DC-DC:車載電子機器の市場トレンドと求められる電源IC (2/2)

[Tony Armstrong(Linear Technology),EDN Japan]
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48Vシステム、12V/48Vデュアルシステムへの対応ニーズ

 バッテリーはもはやHEVやEV向けに限定されません。新たに提唱された自動車標準規格(LV148)では、2017年モデルの一部の自動車で2次側の48Vバスと既存の12Vシステムを組み合わせています。48Vレールには、インテグレーテッドスタータージェネレーター(ISG)またはベルト駆動式発電機、48Vリチウムイオンバッテリーおよび、双方向DC-DCコンバーターが含まれており、48Vと12Vの複合バッテリーから最大10kWの有効エネルギーを供給します。自動車メーカーはますます厳格になるCO2排出目標を達成する必要があるので、この技術は、ハイブリッド電気自動車やマイルドハイブリッド車だけでなく、従来の内燃機関自動車もターゲットにしています。

写真はイメージです

 この新規格では、12Vバスが点火、照明、インフォテインメント、オーディオの各システムに電力を供給し続けます。48Vバスはアクティブシャシーシステム、エアコン用コンプレッサー、可変サスペンションおよび、電気的スーパーチャージャー/ターボに電力を供給し、回生制動もサポートします。追加の48Vバスの使用が決定したことにより、48Vバスは複数の生産モデルにまたがって利用可能になることが予想されるので、エンジンの始動を支えることが可能になり、これによって停止と始動の動作がより滑らかになります。さらに、電圧が高くなるとケーブル断面積の低減が必要になるので、ケーブルの大きさと重さが減少します。今日の高級車では、配線の距離が4kmを超えることがあります。車はPCのようになりつつあるので、多数のプラグ・アンド・プレイ・デバイスの可能性が生まれます。通勤で自動車を利用する人は、平均で1日の9%を車内で過ごします。したがって、車にマルチメディアとテレマティックスを導入すると、娯楽が増えるだけでなく生産性が高まる可能性があります。

 48Vバッテリーシステムは、もう間もなく実現します。一部の自動車メーカーによると、48Vベースの電気系統では内燃機関自動車の場合で燃費が10〜15%向上しており、それによってCO2排出量も削減されています。

 さらに、48V/12Vデュアルシステムを使用する将来の自動車では、技術者がエンジン負荷と無関係に動作する電気昇圧器技術を統合できるようになり、その結果として加速性能が向上します。その先行開発段階では既に、コンプレッサーを吸気系統と中間冷却器の間に配置し、48Vを使用してターボの回転数を上げています。

 したがって、12V-48Vバッテリー間を行き来する双方向の降圧または昇圧DC-DCコンバーターが必要になるのは明らかです。このDC-DCコンバーターを使用してどちらのバッテリーも充電することが可能であり、必要に応じて両方のバッテリーが同じ負荷に電流を供給することができます。48V/12VデュアルバッテリーDC-DCコンバーターの初期の設計のほとんどでは、電圧を降圧および昇圧するのにさまざまなパワー部品を使用します。このため、電圧の降圧に使用するのと同じ外付けパワー部品を昇圧変換にも使用する双方向DC-DCコントローラーが登場しています。

 例えば、双方向DC-DCコントローラーの1つである「LTC3871」は、100V/30Vの双方向2相同期整流式降圧/昇圧コントローラーで、12Vおよび、48Vの基板回路網間で双方向のDC-DC制御とバッテリーの充電が行えます。このデバイスは、48Vバスから12Vバスへの降圧モードまたは12Vから48Vへの昇圧モードで動作します。どちらのモードも入力制御信号を介してオンデマンドで設定されます。最大12相を並列に接続し、位相のずれをクロックに同期して、大電流アプリケーション(最大250A)に対する入出力のフィルタリング要件を最小限に抑えることができます。その先進の電流モード・アーキテクチャにより、並列接続した場合に位相間の電流整合性が高くなります。12相設計の場合は、降圧モードまたは昇圧モードで最大3kWを供給することができます。

双方向DC-DCコントローラーを用いた回路例

 車を発進させる場合、または追加の電源が必要な場合、LTC3871では、一方の基板回路網からもう一方の基板回路網にエネルギーを変換することにより、両方のバッテリーがエネルギーを同時に供給することができます。4つの制御ループ(電流に対して2つと電圧に対して2つ)により、48Vと12Vのどちらの基板回路網でも、電圧と電流を制御することができます。

【著:Tony Armstrong/Linear Technology(リニアテクノロジー)パワー製品製品マーケティング・ディレクタ】

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