連載
» 2017年08月04日 11時00分 UPDATE

数式で読み解く:Bluetooth 5 高速通信の仕組み (1/4)

2016年12月にBluetoothの最新コア仕様であるBluetooth 5が策定された。Bluetooth 4.2に比べて2倍の通信速度を実現する仕様だが、どのような仕組みで高速通信を実現しているのか。リンク層のパケット形式の“中身”を紹介するとともに、そこに含まれる情報量を使った簡単な計算によって、Bluetooth 5の高速通信の仕組みについて触れる。

[Kai Ren(Bluetooth SIG),EDN Japan]

Bluetooth 5の登場

 2016年12月、Bluetooth 5の仕様が策定されました*)。現在、無線接続の標準となっているBluetooth 4.2に比べて、4倍の通信距離、2倍の通信速度、そして8倍となったアドバタイジングパケット(通信容量)は、Bluetooth技術の大きな飛躍となりました。なお、最新のBluetoothコア仕様に関する情報は、Bluetooth SIGのWebサイトからダウンロード可能です

*)関連記事:Bluetooth 5、2Mbpsで100m、125Kbpsなら400m(EE Times Japanのサイトに移行します)

 Bluetooth 5の発表直後から、「高帯域幅機能によってBluetooth 5はどの程度速くなるのか」という質問が相次ぎました。そこで、Bluetooth 5デバイス同士と、前バージョン(Bluetooth 4.x)/Bluetooth Low Energy(BLE)デバイス同士の接続を確立する際の考察として、理論上のBLEのデータスループットを確認してみましょう。

 ご存じのように、ワイヤレス接続では、リンク保全のための多少の無駄な送信と高耐久性および高効率な接続を維持するために、パケットに冗長が存在します。BLE接続において、あるデバイスからそのピア(対向通信)デバイスまでの1つの完全な送信周期は、図1のようになります。

図1 1つの完全な送信周期 出典:Bluetooth SIG
  • 「T」スロットはフレームヘッダ、ペイロード、メッセージ整合性チェックフィールド(MIC)を含む伝送パケットで、本来送信すべきデータはペイロードに収められて送信されます
  • 「R」スロットはピアデバイスからの受信パケットで、デバイスからピアデバイスにパケットが送信されると、ピアデバイスは前の送信が成功したことを示すために、長さが最低限のパケットを返送します
  • 「T_IFS」は送受信フレーム間の休止間隔で、2つの連続したパケット間の時間間隔を定義します。「T_IFS」はBluetooth 5またはBluetooth 4.0のいずれを使用しても、150マイクロ秒となります。「T_IFS」の詳細は、Bluetooth 5、Bluetooth v4.0、v4.1、v4.2のいずれのコア仕様書についてもVol 6、Part B、Section 4.1を参照してください

 接続状態のBLEのデータスループット計算式は、次のようになります。

 では、この計算式を使用して、コア仕様4.0からBluetooth 5の接続確立状態でのデータスループットを計算していきます。Bluetooth 4.xとBluetooth 5.0の速さの違いが分かりやすくなります。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © 2005 - 2017 ITmedia Inc. All rights reserved.
This site contains articles under license from UBM Electronics, a division of United Business Media LLC.