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» 2017年08月21日 11時00分 UPDATE

DC-DCコンバーター活用講座(3) 電力安定化(3):降圧、昇圧、昇降圧コンバーターによる電力安定化 (1/3)

今回の記事では、降圧コンバーター、昇圧コンバーター、昇降圧(反転)コンバーターのそれぞれにおける電力安定化について解説します。

[Steve Roberts(RECOM),EDN Japan]

降圧コンバーター

 以下のトポロジーでは、スイッチング素子は簡単なスイッチで表されています。実際は、それらはトランジスタ、P-FETまたはN-FETであり、詳細な設計要件に従ってドライバーを備えていたり、備えていなかったりします。

図1:降圧レギュレーターの簡略回路図と特性 出典:RECOM(クリックで拡大)

 名称が示しているように、降圧コンバーターは高い入力電圧を安定化された低い出力電圧に変換します。簡略回路図と主な電流および電圧の波形を図1に示します。

 この回路を簡単に理解するには、L1とC1がローパスフィルターを形成していると考えます。スイッチS1が閉じるとコンデンサーC1がL1を介して充電し、負荷両端の電圧がゆっくりランプアップします。次にS1が開くと、インダクターのスイッチ側の端がダイオードD1によって0Vにクランプされるので、インダクターの磁界に保存されたエネルギーはコンデンサーと負荷に放電することになり、負荷両端の電圧がゆっくりランプダウンします。従って、平均出力電圧はPWM制御信号のマーク/スペース比と入力電圧の積になります。

 オン状態とオフ状態のインダクターの電圧時間積を等置することにより、伝達関数を得ることができます。これら2つの積はエネルギー保存則によって等しくなければなりません。

式1:降圧コンバーターの伝達関数

降圧コンバーターのアプリケーション

 降圧コンバーターの長所は損失が非常に低いことで、同期式のデザインでは97%を超える効率を容易に達成できます。出力電圧はVREF〜VINの範囲で設定可能で、VINとVOUTの差を非常に大きくすることができます。

 また、スイッチング周波数は数百kHzが可能で、小さなインダクターを使ったコンパクトな構成となり、過渡応答が高速です。さらに、スイッチングFETをディスエーブルすると出力がゼロになるので、無負荷時の消費電力は無視できます。これらの理由により、降圧レギュレーターは多くのアプリケーションでリニアレギュレーターに対する魅力的な代替になります。

実用的ヒント

 RECOM R-78xxシリーズは。リニア78xxシリーズのピン互換の代替製品です。R-78xxは完成された降圧レギュレーターモジュールで、通常動作では外付け部品は全く不要です。97%の効率を達成し、入力電圧は最大72Vdc、暗電流は20μAです。


図2:スイッチングレギュレーター用降圧コンバーターおよびピン配置 出典:RECOM(クリックで拡大)

実用的ヒント

 降圧コンバーターの短所の1つは、レギュレーションが一般にサイクル毎に行われるため、適切にレギュレーションを行うにはPWMレギュレーターの帰還回路が最小の出力リップルを必要とするということです。出力リップルはデューティサイクルにも依存し、50%のデューティサイクルで最大になります。従って、リニアレギュレーターでは達成できるμVレベルにまでは、R/Nを下げることができません。

 非常にクリーンな電源が必要な場合、降圧レギュレーターの後にリニアレギュレーターを使って、両方のトポロジーの長所を組み合わせます。下の例では、安定化されていない24Vdcをスイッチングレギュレーターによって95%の効率で15Vへ降圧します。次にリニアレギュレーターがクリーンな12V出力を供給します。リップルとノイズは5μV未満です。システム全体の効率は、リニアレギュレーターだけの場合の50%以下に比べて、約76%です。


図3:降圧レギュレーターとリニアレギュレーターの組み合わせ 出典:RECOM(クリックで拡大)

 最後に、どんなスイッチング回路も入力にパルス電流を生じるので、適切にフィルターしないとEMIを生じることがあります(図1の入力電流特性IS1を参照)。従って、入力ピンのすぐ近くに小さな10μFコンデンサーを配置することを推奨します。

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