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» 2017年10月23日 11時00分 公開

DC-DCコンバーター活用講座(7) 電力安定化(7):DC-DCコンバーターの性能に影響を与える寄生特性 (3/3)

[Steve Roberts(RECOM),EDN Japan]
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RMコンバーター

 QRコンバーターをさらに発展させたのが、完全共振モードのコンバーターです。共振モード(RM)コンバーターは直列共振、並列共振、または直並列共振(LCCとも呼ばれる)トポロジーで実現できますが、ハーフブリッジLCCは共振モードで特に有利なので、分かりやすくするために、ここではこのトポロジーだけを考えるものとします。

 共振モードコンバーターの目的は、共振タンクがゼロボルトスイッチング(ZVS)を行えるように、十分な大きさの容量とインダクタンスを追加することです。ZVSの利点は、損失が極めて小さいことです。

図6:ハーフブリッジLLC共振モード 出典:RECOM(クリックで拡大)

 このトポロジーには2つの共振周波数があります。1つはCRとLRで形成される直列共振タンクで、もう1つはCRとLM + LRで形成される並列共振タンクです。通常、LMとLRは、洩れインダクタンス効果を減らすために、ともに並列でトランス巻線に接続します。

式3:LCCコンバーターの2つの共振周波数

 二重共振の利点は、負荷に応じてどちらかが優先されることです。直列共振回路の周波数は負荷の減少とともに増加し、並列共振回路の周波数は負荷の増大とともに増加するので、うまく設計された直並列共振回路は、全負荷範囲にわたって周波数が安定します。スイッチング周波数とLRおよびCRの値は、1次側巻線が連続共振してほぼ完璧な正弦波となるように選びます。2つのハーフブリッジスイッチQ1とQ2は逆位相で動作します。FETがアクティブになると、FETにかかる実際の電圧は負になります。ゲート、ドレイン電圧は内部ダイオードによる低下分だけで、ゲート駆動電流は非常に小さい値になります。電圧が正に移行するとFETがオンになり、正弦波電圧がゼロを通過する時に導通が始まります。

 駆動波形が正弦波であるためスイッチング損失とトランス損失がともに低いことともあり、95%を超える変換効率を実現することができます。もう1つの利点は、電力伝達がすべて正弦波で行われるので、EMI放射が極めて少ないことです。

図7:共振モードLCCの特性 出典:RECOM(クリックで拡大)

 LCCコンバータートポロジーの欠点は、良好なQファクタ(つまりCRが小さい)による安定した共振周波数を得るために必要なインダクタンスが大きくなりがちなことです。また、コンバーターは、問題なく起動できるように、実現可能な最大利得未満で動作するように調整しなければなりません。通常は、安全率を見て80〜90%を動作利得範囲とします。

 無負荷動作には、追加的なパルスモード回路が必要になります。論理的にはLLCの負荷範囲には無負荷も含まれますが、実際には部品の許容差によって無負荷時にコンバーターが不安定になることがあります。最後に、安全のために必要な沿面距離と空間距離を確保しようとする場合、並列型トランス構造の設計は十分慎重に行う必要があります。


⇒「DC-DCコンバーター活用講座」連載バックナンバーはこちら


執筆者プロフィール

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバータの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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