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制御用PCの修理(前編) CPU横の膨れたコンデンサーWired, Weird(1/3 ページ)

半導体製造装置に使用されている制御用PCの修理が舞い込んだ。「電源が入らない」という症状だったので電源の不良を疑ったが、CPU基板に故障原因があった……。今回から2回にわたり、制御用PCの修理の様子を報告しよう。

» 2017年11月08日 11時00分 公開

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ATX電源不良だと思い込んで引き受けたPC修理

 半導体製造現場で使用されている小型の制御用PCの修理依頼があった。『電源が入らない』という症状らしく、「ATX電源不良」が故障原因だろう。PCの修理の経験は少ないのだが、ATX電源の修理は経験があるので、修理を引き受けることにした。今回は制御用PCの修理を報告する。修理するPCの内部を図1に示す。

図1:修理する制御用PCの内部

 図1のように、カードラックには4枚の基板が実装されている。一番上の基板がCPU基板だ。電源はカードラックの外に置かれていたが、マザーボードのATX電源用コネクターに電源は接続されていなかった。使用されている電源の型名は「P1U-6150」だった。図2に示す。

図2:制御用PCに使用されていた電源のラベル部 (クリックで拡大)

ATX電源ではなくAT1電源

 電源にAC100Vを通電するとカードラックの電源表示は点灯したがすぐに消灯した。電源不良と思われたので、実装されていた電源のP1U-6150をPCから外して単体で確認した。電源のDC出力のコネクターはATX電源用のコネクターではなかった。電源の型名をWeb検索してみると、ATX電源ではなくAT1電源だった。AT1電源はATX電源の前のPC電源で外部からのオン/オフ制御がない電源だった。

 P1U-6150の電源に単体でAC100Vを通電したらDC電圧が出力された。出力電力を確認したら、無負荷で8.8Wで、出力電圧の配線は、以下の通りだった。

出力電圧の測定結果
配線色 信号 測定値(電圧)
+5V +5.23V
−5V −5.51V
+12V +11.71V
−12V −11.48V
5VSB +5.23V

 上記の通り、3.3V出力はなかった。なおATX電源の橙線は3.3Vなので、AT1とATXでは、配線色の使い方が違っている。

 電源の出力は正常だったが、念のためケースから電源の基板を取り出し内部を確認してみた。電源は構造が2階建てでかなり混んだ実装だった。また全てのコネクターが接着剤で固定してあった。電源入力のコネクターにも接着剤が付いており、コネクターのピンにも接着剤が付着して、接触不良が懸念された。

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