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» 2017年11月13日 11時00分 公開

DC-DCコンバーター活用講座(8) 電力安定化(8):DC-DCコンバーターの効率と2種類のPWM制御モード (1/3)

今回の記事では、DC-DCコンバーターの効率についての考え方と、2種類のPWM制御モードについて解説します。

[Steve Roberts(RECOM),EDN Japan]

DC-DCコンバーターの効率

 リニアレギュレーターに比べると、スイッチングレギュレーターの効率の決定ははるかに複雑です。リニアレギュレーターのDC損失は容易に求めることができ、最大の損失はパストランジスタで発生します。しかし、スイッチングレギュレーターはDC損失だけではなく、AC損失もあります。AC損失はスイッチやエネルギー保存部品で発生します。例えば、スイッチの合計損失にはオン状態やオフ状態での損失だけでなく、オンからオフ、またはオフからオンへの移行時の損失も含まれます。トランスの合計損失は、コアのAC損失、巻線のAC損失、および巻線のDC損失を合計することによって計算されます。

 トランスのコア損失は主に磁束とコア材料の相互作用によって発生し(ヒステリシス損失、渦電流損失)、巻線損失は主にトランス巻線の材料によって発生します(抵抗損失、表皮効果)。いずれの場合も、実際の影響はトランスの温度が上昇することです。DC-DCコンバーターの効率を計算するには、PWMデューティサイクルの全域にわたって損失を平均することにより、変換サイクル各部分の損失を明らかにする必要があります。

 スイッチングレギュレーターでは、スイッチングサイクル全体の時間に対してパワースイッチがオンになる時間が短いので、高い効率が実現されます。磁気部品、誘導部品、容量性部品における損失は、慎重な設計と部品選択によってこれを制御し、最小限に抑えることができるので、96%を超える変換効率を実現できます。これは、失われて熱に変換される入力電力が、わずか4%であることを意味します。一般に、非絶縁コンバーターは絶縁コンバーターより高効率です。これは、電力変換に関わる部品が少なく、トランス損失が発生しないからです。絶縁DC-DCコンバーターは構造が複雑ですが、それでも、出力定格に応じて85%を超える効率を実現することができます。

 効率を低下させる大きな要因の1つが、出力ダイオードです。出力電流が1Aで、ダイオード両端での順方向電圧降下が0.6Vの場合、ダイオードだけで600mWの電力が失われます。したがって、多くの高出力電流DC-DCコンバーターは、整流損失を減らすために同期スイッチングのFETを使用しています。

 特に大出力電流時のI2R損失が大きいことを考慮すると、一般的に小電力コンバーターは大電力コンバーターより効率が悪くなりますが、この事実は意外に知られていません。しかし、スイッチングコントローラー、シャントレギュレーター、およびフォトカプラの内部消費電力(「ハウスキーピング」消費電力)は、大きな役割を果たします。合計ハウスキーピング電力の必要量が1Wだとすると、10Wのコンバーターで90%を超える効率を実現させることはできませんが、100Wコンバーターで実現可能な最大効率は99%です。ハウスキーピング損失は、無負荷時のDC-DCコンバーターの効率が0%である理由を説明しています。無負荷状態でもコンバーターは電力を消費しますが、出力はゼロです。

 FETは、定常的なオン状態またはオフ状態にある時よりも、スイッチング時の方が多くの電力を消費します。これは、内部ゲート容量の充放電を行って出力を切り替える必要があるからです。2Aを超えるピークゲート電流は珍しいことではありません。DC-DCコンバーターは無負荷で動作中も1秒間に数百回から数千回の速度でFETのスイッチングを行うので、無負荷時でも熱を持つのは異常なことではありません。

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