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» 2017年11月24日 11時00分 公開

DC-DCコンバーター活用講座(9) 電力安定化(9):DC-DCコンバーターのレギュレーション (3/4)

[Steve Roberts(RECOM),EDN Japan]

DC-DCコンバーターのリモートセンス

 電流ベースまたは電圧ベースの帰還は優れた出力電圧制御を実現しますが、出力電流値の大きいコンバーターでは、出力ケーブル、コネクター、PCB配線などによる電圧降下の影響で、実際の性能が低下することがあります。多くの場合、出力電流が最も大きいのは低出力電圧のコンバーターです。例えばコンバーターと負荷の間で200mVの電圧降下が発生する場合、12V電源ならこれを許容できますが、3.3Vレールの場合はアプリケーションの大幅な性能低下を招きます。

図5:寄生直列抵抗の影響 出典:RECOM(クリックで拡大)

 さらに、電圧降下損失は負荷のレギュレーションに大きく影響します。図5に示すように、負荷にかかる出力電圧はIOUTRS×2だけ減少し、電力損失は直列抵抗の二乗に比例します。低負荷時にはRSの値はそれほど影響しませんが、電流値が大きくなると誤差も大きくなります。よって、レギュレーションの精度は出力電流に依存します。低負荷時の出力電圧が過大になるリスクに対処することなく、全負荷時の損失を補正するために出力電圧をトリムアップするだけでは十分ではありません。

 このレギュレーション誤差の影響も、アプリケーション固有の複数のパラメーターに依存するので、予測は困難です。例えば、コネクターの接触抵抗は、表面の酸化や汚れ、物理的摩耗、熱劣化などによって変化するので、RSの値は時間とともに変化します。また、負荷までの距離が長い場合、問題は静的な抵抗損失だけに限られません。特に電流モードの帰還信号が早く届く場合は、コンバーターからある程度の距離に置かれた負荷が動的に変化すると、電力伝送ラインのリアクタンスのために別の負荷レギュレーション誤差を引き起こす可能性があります。最悪の場合、出力ケーブルの寄生インダクタンスや寄生容量がコンバーター出力を発振させたり不安定にして、オーバーシュートや過電圧によるアプリケーション回路の損傷を招く恐れがあります。

図6:出力電圧損失を補正するためのセンス入力 出典:RECOM(クリックで拡大)

 図6にこの問題のソリューションを示します。コンバーターには、負荷点の電圧をモニターできるように新たに2本の入力ピンが追加されています。このタイプの接続は、多くの場合、ケルビン接続あるいはセンス入力と呼ばれます。コンバーターのメイン出力電流は従来通りリモート負荷に接続しますが、内部帰還回路と負荷の間に2本の接続が追加されます。この追加されたセンス接続に流れる電流はVL/(R1 + R2)だけで、通常R1 + R2は数キロオームなので、センス電流は非常に小さく、この接続に沿った電圧降下も、それに比例して小さい値に止まります。よって、コンバーターは負荷にかかる実際の電圧に従ってレギュレーションを行い、直列抵抗RSを無視します。センス電流が小さいということは動的寄生効果による影響も受けにくく、負荷が急速に変化しても、負荷レギュレーションはより安定します。センスピンを未接続のままにしても、コンバーターはダイオードD1とD2によって動作します。

 ただし、合計許容電力に関する制約を忘れないようにしなければなりません。これは、出力電圧が低く出力電流が大きいコンバーターの場合、特に重要です。このような場合、電力計算に使わなければならないのは実際の出力電圧VOUTであって、負荷にかかる使用可能電圧VLではありません。VLは次式で表されます。

式1:負荷電圧と出力電圧の関係

 この式は広範囲に影響を与えます。I2R損失の補正には限界があるということは、すぐに分かります。出力電圧がコンバーターの出力過電圧保護を作動させないようにしなければならないので、出力電圧を意のままに増やすことはできません。また、消費電力もコンバーターの制限内でなければならず、このことも全負荷時の出力電圧を制限します。

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