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» 2017年12月04日 11時00分 公開

DC-DCコンバーター活用講座(10) 電力安定化(10):入力電圧範囲の制限と同期整流 (2/2)

[Steve Roberts(RECOM),EDN Japan]
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同期整流

 既に述べたように、あらゆるコンバーターの効率低下の大きな原因の1つは、出力ダイオードによる電力消費です。パワーダイオードには標準で500mVの電圧降下が生じますが、これは1Aで0.5Wの電力損失に相当します。順方向電圧降下の小さいショットキー・ダイオードは、小電力コンバーターの代替として使用できる場合がありますが、大電流に対応できるサイズのものは高価です。しかし、それでも約200mVの順方向電圧降下があるので、電力損失は依然として顕著です。このような状況で効率改善を大きく前進させたのが、同期整流技術の開発です。

図1:受動整流と同期整流の比較 出典:RECOM(クリックで拡大)

 左側の図は、ダイオード整流による標準的回路です。この回路ではD1が整流器として、D2がフリーホイール・ダイオードとしての役割を果たします。どちらのダイオードにも、ほぼ同じ電流ILによる負荷が交互にかかります。ダイオード内での順方向電圧降下VFによる損失は、PVD=VFILです。標準順方向降下電圧VFを0.5Vとすると、相対的消費電力を1アンペアあたり0.5Wと仮定できます。よって、3.3V/10Aの出力コンバーターの電圧変換損失は15%です。これには、他のいかなる変換損失も考慮されていません。ダイオード内の消費電力は5Wなので、有効な動作温度範囲を設定するために、ダイオードにはヒートシンクを取り付ける必要があります。

 幸い、サイクルの順方向部分でFETをスイッチオンし、サイクルの逆方向部分でスイッチオフすることにより、これを整流素子として使用することができます。FETは、抵抗RDS,ONが非常に低いという高速スイッチとしての利点を備えているので、整流器に最適です。これらのデバイスの欠点は能動的に駆動しなければならないことで、追加のタイミング回路や駆動回路が必要になります。これらの回路では、2つのFETを出力波形に同期させて正確にオン、オフするために、内部電圧を検出する必要があります。これがこのトポロジーの名前の由来です。これに対し、ダイオードは特別な回路を必要としない受動デバイスですが、約10mΩという非常に低いRDS,ONは、大出力電流コンバーター用にはより複雑な回路が必要になるという欠点を補って余りある利点です。一部の設計では、クリーンな駆動信号を生成するために、追加の2次側巻線が使われます。

 通常、ダイオードはFETより逆降伏電圧の定格値が大きいので、既存のダイオード整流回路を設計して同期整流を使用する場合は、電圧過渡がVDSの制限値を超えないよう注意が必要です。


⇒「DC-DCコンバーター活用講座」連載バックナンバーはこちら


執筆者プロフィール

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバーターの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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