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バックライトの修理――CCFLの入手困難も知恵で立ち向かうWired, Weird(2/2 ページ)

» 2018年01月11日 11時11分 公開
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CCFLを取り換えればよいのだが……

 同じ長さのCCFLをインターネットで検索したが、この長さのCCFLは見つからなかった。バックライトのLED化が進み、小型のCCFLを作る会社が少なくなっているようだ。蛍光灯やPC用の長いCCFLは入手できるが、この小型タッチパネルには長すぎる。結局140mmのバックライト用CCFLは入手できなかった。

 しかし、少し短いがパーツショップで販売されている長さが90mm程度の陰極管が見つかった。これを使うとパネルの周辺部の明るさが気になるが、中央部分を重ねて使用すれば表示が見えるようになるだろう。動作確認のため90mmのCCFLを手配した。図5に示す。

図5:長さ140mmのCCFL(写真上)の代わりに手配した長さ90mmのCCFL(写真下)

 図5の上側が実装されていたCCFLで約140mm、下が手配した91mmの細いCCFLだ。長さが50mm違うので2本使用しても明るさにむらが出るのは明白だ。修理の依頼先に明るさのむらが出ること報告したら「現状は真っ暗で見えないので、明るさに多少のむらがあっても問題ない」という返事をもらった。これなら気楽に修理できる。

 まずは50mmの長さの配線でCCFLを延長して、黒いゴムを取り付け本体に実装してみた。本体に押し込んでいる時に『ポキッ』と嫌な音がした。取り出してみたら、細いCCFLが途中で折れていた。図6に示す。折れた部分を赤四角で囲った。

図6:折れてしまった長さ90mmの細いCCFL

 黒ゴムにCCFLを取り付けて本体へ挿入したので、挿入時にCCFLにストレスがかかって割れてしまったと思われる。そこで、割れを防ぐためにCCFLと配線を150mmの長さの透明のヒシチューブ(熱収縮性チューブ)で全面カバーし、黒ゴムは使用せずにバックライトのケースに取り付けた。図7に示す。

図7:◆チューブでカバーしたCCFLをバックライトケースに取り付けた様子

 ケースへ挿入時の引っかかりはなく、スムーズに取り付けることができた。CCFLへのストレスを少なくしたのでCCFLが少し浮いた取り付けになった。電源を投入しパネルの明るさを確認した。図8に示す。

図8:無事にバックライトが点灯したタッチパネル

 DC24V電源を投入したらバックライトが点灯した。明るい光でもパネルの文字は読める。消費電流は220mAで、修理前よりも60mA程度増え、ライト点灯で約1.2Wの電力アップになった。しかし予想通りではあるが、パネル上側の左右の隅が少し暗い……。とは言え、何とか使えそうなレベルの明るさにはなったので、顧客に納品して確認してもらうことにした。数日後、無事に顧客から「OK」の返事をもらった。

 この修理方法ではCCFLが固定されず少し浮いているので、振動の多いところで使用する場合は振動防止が必要かもしれない。ただCCFLは、割れ防止と絶縁も配慮して、透明のヒシチューブに入れたので簡単に割れることはないだろう。今回のバックライトの修理方法は他のメーカーのタッチパネルや暗くなった液晶パネルにも応用できそうだ。

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