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帰還ループ補償とスロープ補償DC-DCコンバーター活用講座(13) 帰還ループ(2)(1/2 ページ)

今回の記事では、帰還ループ補償と右半平面の不安定性、スロープ補償について解説します。

» 2018年02月05日 11時00分 公開

帰還ループ補償

 選択されたシステムのクロスオーバー周波数が、パワー段のクロスオーバー周波数から離れているほど、出力は安定します(ゲイン余裕と位相余裕が大きくなります)が、過渡応答が遅くなります。位相余裕を約45°にすれば、オーバーシュートが小さく、リンギングのない優れた応答が得られます。

 全ての動作周波数でエラーアンプのゲインを増加させることによって、システムのコーナー周波数を安全な領域に移動させる他に、オペアンプの帰還に補償を追加することにより、エラーアンプの位相シフトを周波数に依存したものにすることができます。

図1:補償されていないエラーアンプ(左)と補償されたエラーアンプ(右)(クリックで拡大) 出典:RECOM

 位相が反転して、重要なクロスオーバー周波数での位相余裕が増えて安定性が増すように、補償部品の値を選択することができます。これにより、出力フィルターでの減衰が大きくならないようにできるので、過度のオーバーシュートや発振の恐れなしに、過渡に対するDC-DCコンバーターの応答を速めることができます。

図2:図1に示す補償されたエラーアンプ回路のゲインと位相の関係(クリックで拡大) 出典:RECOM
図3:図1に示された回路の補償された帰還ループ特性(実線)とシングルポールの帰還ループ特性(点線)(クリックで拡大) 出典:RECOM

 点線は、ゲインが追加されているが補償は行われていないエラーアンプでの、周波数に対するゲインと位相を示します。実線は、ゲインが追加されて、補償部品によって位相シフトが行われています。

 補償によって位相を最大180°(-90°から+90°まで)押し上げることが可能で、複数のポールとゼロを組み入れて、出力フィルターのゼロとポールを補償することができます。

 正しい設計を使えば、帰還ループの定常状態の安定性を損なわずに、ステップ負荷や過渡入力電圧変化に対する応答速度を3または4倍に高めることができます。

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