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» 2018年03月27日 11時00分 公開

IIoTの実現に不可欠:ITとOTネットワークを融合する「TSN」の概要と実装 (1/4)

産業向けIoT(IIoT)の実装で直面する大きな課題の1つは、情報技術(IT)と運用技術(OT)におけるネットワークの融合である。本稿では、これらネットワークの融合を実現する「IEEE 802.1 TSN(Time Sensitive Networking)」の概要と実装について解説する。

[Michael Zapke/Adam Taylor(Xilinx),EDN Japan]

ITとOTネットワークの融合

 産業向けIoT(以下、IIoT)の実装で直面する大きな課題の1つは、情報技術(IT)と運用技術(OT)におけるネットワークの融合である。現在ITとOTのネットワークは別々の階層にあり、相互接続を行うためには専用のゲートウェイなどが必要になる。IIoTでノードが相互接続するシステムを実現するには、これらのネットワークの融合が重要だ。

 現行のファクトリーオートメーション(FA)を制御するアーキテクチャは、図1のような階層構造になっている。最上位に位置するERP(基幹系業務システム)アプリケーションがビジネス コア プロセスの管理とオートメーションの統合を実現しつつ、下位では製造工程を制御するMES(製造実行システム)が動作する。

 PLC(プログラマブル ロジック コントローラー)が、最下層に位置するセンサーやI/Oなど接続された産業用機器を使用してオートメーションタスクを実行する。

図1:ネットワークと階層の一般的な対応付けを示したオートメーション ピラミッド(クリックで拡大)

 図1に示したピラミッドには、段ごとに異なるネットワーク要件がある。上の段では高帯域幅と、柔軟性のあるネットワークトポロジーが必要だ。下の段では動作が確定的なこと、パケットの遅延の程度にばらつきが少なく一定の間隔でサンプルを転送できることが必要になる。この結果、複数のネットワークが並んで稼働する。

 コンバージドネットワーク(Converged Network)は、現行のばらばらなネットワークアーキテクチャが持つ複数の課題を解決できる。

  • 透過性の向上:全ての階層、データを工場内のエレメント変換なしに利用できる
  • ネットワーク プランニングの削減:柔軟性の高いトポロジーが変更を容易にする
  • 設備投資の削減:ケーブル敷設と、ネットワーク間のゲートウェイが減る
  • 運営費の削減:ネットワーク管理の手間が減る
  • 帯域幅の拡大:単一ネットワーク速度の制限がなくなる
  • M2M(機器間通信)向けに最適化:OPC UA*)など共通データモデルを使用した機器間の連携に対応可能

*)OPC UA(Unified Architecture):産業オートメーション標準通信規格。

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