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» 2018年04月27日 09時30分 公開

Q&Aで学ぶマイコン講座(41):マイコンはビット数で何がどう違うのか? (4/4)

[菅井賢(STマイクロエレクトロニクス),EDN Japan]
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生活家電での使われ方

 生活家電(洗濯機、冷蔵庫、エアコンなど)には、必ず表示機能があります。また、ボタン入力、時計機能、タイマ機能もほとんどの家電品に付いています。これらは簡単な機能ですから、CPUは高速演算を必要としません。従って8ビットマイコンで十分です。

 エアコンや空気清浄機の風力・風向きの調節は、温度などを検知して、その情報をフィードバック処理する必要があるので16ビットマイコンの方が適していますが、製品仕様によっては8ビットマイコンでも可能な場合があります。

 冷蔵庫のコンプレッサーや洗濯機や掃除機にはモーターが搭載されていますが、モーター制御には回転数制御、トルク制御などに高速処理が必要になるため、最低でも16ビットマイコン、通常は32ビットマイコンが使われます。

 最近の家庭用照明器具の光源はほとんどLEDになりました。LEDの輝度調節は8ビットマイコンで十分足ります。

 図4(a)に実際にマイコンが使われている用途を示します。1つの家電品でも複数のマイコンが搭載されており、それぞれの役割によって、8ビットマイコン、16ビットマイコン、32ビットマイコンが使い分けられています。

図4(a):マイコンの使用例(生活家電)(クリックで拡大)

産業機器での使われ方

 産業機器のほとんどはフィードバック制御の高速演算を行っているので、最低でも16ビットマイコンが必要になり、ほとんどの用途で32ビットマイコンが使われています。また、フィードバック制御を行っていなくても、高速で複雑な動作を必要とする場合は16ビットマイコンや32ビットマイコンが使われます。

 電力メーターでは、電力の計算(力率、有効電力、無効電力、皮相電力など)で高度かつ高速な演算が必要になるため、32ビットマイコンが使われます。

 低電力通信が発達してきた昨今では、データロギング(データを収集する機能)で収集したデータを即座に通信することにも32ビットマイコンが使われます。

 その他、図4(b)に示すように、自動販売機、自動改札機などでも32ビットマイコンが機器のメイン制御用途などで使われています。

図4(b):マイコンの使用例(産業機器)(クリックで拡大)

IoTなどさまざまな場面での使われ方

 図4(c)にIoT機器などを含むその他の用途を示します。これらの機器にはタッチスクリーンが採用され、ボタン入力がほとんどないことも珍しくありません。タッチスクリーンは8ビットマイコンで実現することができます。

図4(c):マイコンの使用例(その他)(クリックで拡大)

 スマートフォン、小型タブレット、デジタルカメラの写真や動画の表示は処理するデータが多いので、32ビットマイコンが使われます。また、デジタル一眼レフカメラのレンズの中にも、16ビットマイコンや32ビットマイコンがピントやズームのモーター制御用に搭載されています。

 また、変わったところでは、おもちゃの高性能ロボットや、自転車のスピードメーターやギアチェンジの制御にもさまざまなマイコンが使われています。

マイコンの用途のまとめ

 マイコンの使用例を全て挙げるには限界がありますので、図5に一般的な用途をまとめました。この図は、マイコンの市場調査などで使われる図で、マイコンの特長を表す4つの要素、「性能」「価格」「搭載されている周辺機能」「低消費電力」のライン上に、マイコンの用途を8ビットマイコン、16ビットマイコン、32ビットマイコン別にマッピングしたものです。

図5:マイコンの用途まとめ(クリックで拡大)

 一般的に、「性能」の高いマイコンは「消費電力」が大きく、性能の低いマイコンは消費電力が小さいという相関関係にあるので、性能と消費電力を縦軸で表しました。「搭載されている周辺機能」が多いマイコンは価格が高くなるという関係にあるので、「搭載されている周辺機能」と「価格」を横軸に示しました。マイコンの用途と種類の関係が、ひと目で分かります。

筆者プロフィール

菅井 賢(すがい まさる)
(STマイクロエレクトロニクス マイクロコントローラ製品部 アプリケーション・マネージャー)

 日系半導体メーカーにて、25年以上にわたりマイコンの設計業務に携わる。その後、STマイクロエレクトロニクスに入社し、現在までARM Cortex-Mプロセッサを搭載したSTM32ファミリの技術サポート業務に従事。ARMマイコン以外にも精通しており、一般的な4ビットマイコンから32ビットマイコンまで幅広い知識を有する。業務の傍らマイコンに関する技術論文や記事の執筆を行っており、複雑な技術を誰にでも分かりやすい文章で解説することがモットー。


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