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» 2018年05月07日 11時00分 公開

Design Ideas 計測とテスト:低スペックの部品で高精度に抵抗値を測定する

ストレインゲージなどのセンサーでは、安価かつ低スペックの部品で構成した回路を使って、正確に抵抗値を測定しなければならない。そこで、安価で誤差の小さい抵抗値測定回路を紹介する。

[Dave Van Ess(Cypress Semiconductor),EDN Japan]

抵抗分圧回路を用いて低コストに測定

 ストレインゲージやサーミスターなどのセンサーでは、比較的安価かつ低スペックの部品で構成した回路を使って、正確に抵抗値を測定しなければならない。しかし、利得やオフセットの誤差によって抵抗測定の精度が大幅に低下してしまうことがある。この問題に対し、図1のような回路を構成すると、誤差要因のほとんどは除去可能である。そしてその測定精度は基準抵抗器1個のみで決まる。

図1:抵抗分圧を用いた抵抗測定回路
抵抗分圧回路により、電流源と基準抵抗を使う抵抗測定と同様の測定を低コストで実現できる。

 電圧や電流の測定とは異なって、抵抗など受動素子の測定では、基準となる電源が必要になる。抵抗測定方法の1つは、既知の電流を抵抗に流し、その両端に生じる電圧を測定することである。この方法では、基準電流を正確に設定できれば、数値計算処理が不要になる。従って、正確な電流源のコストよりも計算コストのほうが高くついた時代には、この方法がよく用いられた。だが、電流源の精度が測定値の精度を直接左右し、また、発生する電圧を測定する際に利得やオフセットの誤差があると、精度が低下する。さらに、次式に示すように測定範囲はA-Dコンバーターの出力電圧範囲内に制限されてしまう。

 これに対して、高性能なマイクロコントローラーとオンチップレシオメトリックA-Dコンバーターが開発されたことにより、図2のような抵抗分圧回路方式が低コストで実現できるようになった。

図2:利得およびオフセットによる誤差を除去する回路 (クリックで拡大)
測定した2つの電圧の比率を計算することで、利得とオフセットによる誤差の大部分を取り除いている。

 この方式では、抵抗値の測定範囲が理論的に0から無限大までとなるが、抵抗に発生する電圧を測定する回路のオフセット誤差により測定できる範囲が決まってしまう。基準抵抗によって、総合精度と、電圧測定による利得およびオフセットの誤差が決まるのである。基準抵抗にかけるコスト、つまり精度によって測定誤差が決まり、電源電圧VCCは基準電圧VREFから導かれる。レシオメトリックA-Dコンバーターの利得誤差は一般に小さく、総合精度をそれほど左右しないものの、オフセット誤差は総合精度に対する最大の誤差要因となることがある。高価だが高精度の抵抗を用いれば、測定系のオペアンプ全てのオフセット誤差を低減することができる。

 図2は利得およびオフセットによる誤差を減らす方法である。測定電圧の差を取ることで測定系のオフセット誤差を減らしている。

 電圧差の比を求めることにより測定系の利得誤差が全て除かれ、測定誤差は基準抵抗のみで決まるようになる。これは測定信号がA-Dコンバーターの出力範囲にある限り成り立つ。そのためには、バッファー増幅器の利得を1よりやや小さく設定する。

 図3のように、複数の抵抗を測定することもできる。この場合は各検出電圧を、マルチプレクサーを通してバッファーからA-Dコンバーターに接続する。8本のアナログ端子で、センサーを6個まで測定できる。あるいは、電圧検出出力4本をそれぞれバッファーからADコンバーターに接続することもできる。

図3:複数の抵抗を測定する回路 (クリックで拡大)
図2の手法を応用すれば、マルチプレクサーと1組のバッファおよびA-Dコンバーターを使って、複数のセンサーの出力を扱うようにできる。

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事から200本を厳選し、5つのカテゴリーに分けて収録した。

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