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» 2018年05月22日 11時00分 公開

めざせ高効率! モーター駆動入門講座(5):世界が注目するEVモーターの高効率化原理について考えてみよう (1/3)

5回目となる今回は、モーターの高効率駆動を二酸化炭素削減の目玉である電気自動車(Electric Vehicle/以下、EV)から考えてみたいと思う。

[吉冨哲也(ローム),EDN Japan]

⇒連載「めざせ高効率! モーター駆動入門講座」バックナンバー

 本連載5回目となる今回は、モーターの高効率駆動を二酸化炭素(CO2)削減の目玉である電気自動車(Electric Vehicle/以下、EV)から考えてみたいと思う。

 ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle/以下、HEV)をはじめとするエコカーは、燃費をメリットとして使用者目線で普及しているが、最近では地球温暖化、大気汚染防止の観点で、各国が積極的に普及に乗り出している。ガソリンエンジンは誕生から2016年で130年を迎え、さらなるエンジンの燃費向上への取り組みも盛んであり、高圧縮化、ガソリン直噴、連続可変バルブタイミングコントロールなどにより、最大熱効率40%を超える改良も進んでいる。その一方で、2040年までにガソリン車の販売を禁止することを論議している国もある。

ガソリン車もHEVもモーター化

 自動車産業は100年に1度の大転換期を迎えていると言わしめるほど、下記のように以前よりもエコカー、特にプラグインハイブリッド車(以下、PHV)、EV化への開発が急速に加速してきている。

 中国では、「New Energy Vehicle規制法」(以下、NEV法)が2019年から実質的にスタートする。NEV法は、一定量以上の環境対応車を販売しなければならない政策であり、これには大気汚染の問題だけでなく、輸入エンジンから脱却し、自国のモーターを含むEV産業を育成する目的も背景にある。

 EUでは、2021年にCO2排出ガス規定が95g/kmになる。さらに2030年にCO2排出ガスの30%削減が具体化したこともあり、現在のガソリン車だけでは規制への対応が難しくなるため、2025年には大幅な電気自動車の変化が始まると予測されている。また、2030年までには、48Vマイルドハイブリッド車を含むHEV、PHV、EVなどの電動車両(以下、xEVとする)が、新車販売台数の50%近くになるとの予想もある。

 では、モーターから見た場合、ガソリン車とHEV、EVの違いはなんなのだろうか。エンジン、変速機、発電機、マフラーというガソリン車独特のシステム、それらにモーター、インバーターを加えたハイブリッド車(HEV、PHV)、EVの駆動系システム構成比較を図1に示す。なおHEVは、一例であり、その構成は、シリーズ方式、パラレル方式、シリーズパラレル方式と大きく3種類ある。この例は、パラレル方式の一例である

図1:駆動系システムの構成比較

 構成を見て分かるように、ガソリン車は、エンジン、変速機が重要なパーツとなっている。自動車産業の発展において、これらの技術が日本、ドイツ、米国を支えてきたが、EVにはそれらが存在しない。ここに産業構造の大転換や新規事業参入のチャンスが生まれてくる。EVの駆動系システムは、大まかに電池、モーター、インバーターの3つの構成要素に分けることができる。ガソリン車との部品点数での比較では、EVは50%減になるともいわれており、モジュール化による水平分業化も進むと思われる。このEVでは、モーターおよび、それを駆動するインバーターが重要な技術となっている。さらに電池が、実は今後のEV普及率を決定する重要なパーツになる。また、ここには記載してないが、従来エンジンからの補機ベルトにより動作していた冷却水を循環させるためのウォーターポンプ、エアコンやオイルポンプ、パワーステアリングなどがモーターによって電動化されている。必要な時のみ駆動するこれらのモーターは、ガソリン車、HEV、EV問わず、燃費の向上に大きく貢献している。

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