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オシロの多彩なトリガ機能を使いこなそう知っていれば必ず役に立つ(2/4 ページ)

» 2018年06月07日 11時00分 公開
[Arthur PiniEDN Japan]

トリガーホールドオフ

 ホールドオフは、データ捕捉のたびに複数のトリガーイベントが生じる場合に利用されるトリガー機能です。この機能を利用すると、オシロスコープは余分なトリガーイベントを無視して、捕捉時に1つしかトリガーイベントがないかのように働きます。これによって、表示が安定するのです。

 図2は時間によるホールドオフを設定する例です。表示された波形は時間幅7マイクロ秒内に8パルスがバーストしています。8個のトリガーイベントが可能です。トリガーイベントとは、オシロスコープのトリガー機能を通常条件として作動させる信号条件のことです。ホールドオフとは、指定の時間またはイベント回数の間はトリガーを無視させる命令として理解しましょう。

図2:時間によるトリガーホールドオフを使用すると、立ち上がりエッジの最初から最後までで、7マイクロ秒幅のパルスバーストに対し安定にトリガーできます(クリックで拡大)

 図2では、ホールドオフが7マイクロ秒のバースト期間内は、トリガーを無視するよう設定されています。オシロスコープのトリガー機能が有効に設定されていると、トリガーは7マイクロ秒ごとに作動することになります。7マイクロ秒はバースト期間なので、次に続くトリガーは、次のバーストの開始ポイントで作動します。

 イベントによるホールドオフでも同様のことが可能です。この例では8個のトリガーイベントに対しホールドオフします。これがパルスバーストの全期間になります。繰り返しますが、捕捉は各パルスバーストに自動的に同期します。注意すべきは、ホールドオフは、バースト内の特定ポイントへのトリガーを保証するものではなく、単にバーストに同期するものだということです。同期は信号が中断するまでは保持され、信号が回復した後は(恐らくは異なったポイントになりますが)再同期がかかることになります。

 ホールドオフ開始カウンターは、ホールドオフカウンターが各捕捉の開始ポイントでリセットされるかどうか(=捕捉開始の設定)、または、連続的に蓄積されるかどうか(=最後のトリガー時間の設定)を決定するものです。トリガー入力は常時アクティブであることに注意ください。トリガーパルスを受け取ると、捕捉中でなくても、ホールドオフカウンターが捕捉開始ポイントで再スタートされるまでは、ホールドオフ条件としてカウントされます。同様に、同期プロセスが連続している場合は、最後のトリガー時間でカウントを開始するよう設定することによって、全てのトリガーイベントをカウントすることができます。

 ホールドオフは便利なツールですが、使いこなすにはある程度の経験が必要になります。メーカーから提供されるマニュアルやアプリケーションノート、チュートリアル資料を調べると役に立つかと思います。

スマートトリガー

 ミドルレンジのオシロスコープは通常、トリガー信号のタイミングおよび振幅のパラメーターを基準とする、強力なスマートトリガーメニューを備えています。スマートトリガーには、グリッチ、パルス幅、ウィンドウ、区間(周期)、ドロップアウト(信号欠落)、ロジックパターン、ラント*)、TV信号、さらにスルーレートなどが使われます。

*)ラント:正常なHiレベルまたはLoレベルに到達しないパルス信号

 スマートトリガーの一例として、ここではパルス幅トリガーについて解説しましょう。パルス幅トリガーは、信号の幅に反応するもので、一般的にはパルスに適用されます。パルス幅が「〜より広い」「〜より狭い」「範囲内」「範囲外」といった、トリガーするための設定があり、複雑な信号をトリガーする上で強力なツールになります。

 図3はパルス幅トリガーの例を示した波形です。これは、500ナノ秒から4マイクロ秒の間で、8種類の異なるパルス幅がある、PWM(パルス幅変調)の波形です。

図3:パルス幅トリガーを使用して2.5マイクロ秒幅のパルスをトリガーしています(クリックで拡大)

 先述のように、トリガーを定義するには4種類のパルス幅条件が使用可能です。図3は2.3マイクロ秒から2.7マイクロ秒の範囲のパルス幅を条件とする、パルス幅トリガーを示しています。図3内の幅トリガー設定ダイアログボックスは、「範囲内」条件のパルス幅にトリガーするための設定を示しています。この結果として、2.5マイクロ秒幅のパルスがトリガーイベントになります。その他のスマートトリガーも同様に、信号特性に基づく広範囲のトリガーイベントを生成できます。

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