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DC-DCコンバーターの熱パラメーター理解DC-DCコンバーター活用講座(19) データシートの理解(5)(2/4 ページ)

» 2018年06月25日 11時00分 公開

熱インピーダンス

 DC-DCコンバーターの熱インピーダンス性能の分析を始めるにあたって、熱インピーダンスについて考えてみましょう。

 熱インピーダンスあるいは熱抵抗というのは、トランスのコアや半導体接合のような内部熱源とその周囲環境の間での熱伝導効率を表したものです。例として、スイッチングFETを考えてみましょう。熱源は半導体接合のTJです。熱は、トランジスタ本体(TB)に伝わり、充填材を介してコンバーターのケース(TC)に伝わり、最後にケースから周囲(TAMB)に達します。それぞれの段階に℃/Wを単位とする熱インピーダンスθまたはK/Wを単位とする熱抵抗RTHがあります。両者は、実用的には完全に互換性があります。

図1:熱インピーダンスのつながり

 上述の熱インピーダンスのうち、ユーザーが変えることができるのは、最後のインピーダンスθCAだけです。他の2つのインピーダンスはコンバーターの熱管理設計の一部として固定されています。

 コンバーターの温度上昇は次式を用いて計算できます。

式1:温度上昇の計算

 計算例:RECOM RP15-4805SAコンバーターは出力15W、効率88%、ケース―周囲間熱インピーダンス18.2℃/Wです。最大許容ケース温度は105℃です。消費電力=15/0.88−15=2.04Wで、周囲温度からのケース温度の上昇=37℃。従って、最大許容周囲温度=105℃−37℃=68℃となります。

 熱インピーダンスが不明の場合は、測定によって知ることができます。およその値でよければ、恒温槽は必要ありません。図2にテスト装置を示します。どのような温度の測定にもいえることですが、十分な時間をとって温度が落ち着いてから数値を読んでください。

図2:熱インピーダンスのつながり

 熱インピーダンスは、式1を変形した式を用いて計算することができます。

 消費電力は分かっているので(入力電力と出力電力の差)、周囲温度からの内部ケースの温度上昇を測定すれば、熱インピーダンスが求められます。

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