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壊れていない基板の修理Wired, Weird(1/2 ページ)

今回は半導体製造装置に使用されている簡単なセンサーインタフェース基板の修理の報告だ。依頼された基板はI/Oのインタフェース基板で、実装されている部品は全て壊れていなかったのだが、動かないらしい。なぜだろうか……。

» 2018年10月15日 11時00分 公開

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 今回は半導体製造装置に使用されている簡単なセンサーインタフェース基板の修理の報告だ。依頼された基板はI/Oのインタフェース基板で基板上にセンサーの入力インタフェース回路とソレノイドや表示の出力インタフェース回路が24対ずつ搭載されていた。修理依頼の不具合内容は『同じ基板と交換したら正常に動作した。動かなくなった基板を修理してほしい』ということだった。

実装されている部品は全て“異常なし”

 依頼された基板を受領し、通電して基板に搭載されていた部品の動作を全て調べたが不良部品はなかった。基板は不良ではないがデバイスの使い方に問題があるようだ。今回は、実装部品に不良が見当たらない基板の調査について報告する。なお機密保持のため製品の型番などが見えないように配慮している。基板の部分的な写真を図1に示す。

図1:基板の一部

 図1の基板は左側がセンサー入力、上側にCPU基板と接続するコネクターがあり、右側が駆動出力だ。入力と出力の外部接続には48個の白いパッケージのフォトカプラが使用され、信号は絶縁されている。入力や出力にはLEDのモニターが取り付けられ、回路の動作具合が分かりやすい基板だ。このインタフェース基板の1チャンネル分の回路図を図2に示す。

図2:1チャンネル分の回路図

 図2の回路の説明はほぼ不要と思うが、上側の回路は入力回路で入力信号はセンサーの信号をフォトカプラで受けてCMOS ICを通してCPUのポートに接続している。プルアップ抵抗が1kΩで5mAの消費電流があり、CMOS ICの低消費電流の特性は生かされていない。図2の下側は出力回路でCPUからの出力信号をCMOS ICで受け、フォトカプラの出力でトランジスタアレイを駆動して、ソレノイドやリレーの負荷を駆動している。出力部ではCMOS ICの入力がオープンになっているのが気になる。

 修理基板の不具合箇所を確認するため、基板上の部品チェックシートを作り、実装された11個×24回路の全ての部品と動作を確認したが部品の不良は見つからなかった。依頼先へは『基板には不良品は見つからなかったが、ノイズに弱い箇所があり出力部のCMOS ICの入力へ47kΩの抵抗を追加した』と連絡し、報告書と一緒に顧客へ基板を返却した。

 その後、依頼先から『装置に実装したら正常に動作した』と回答があった。この対策で不具合が解消するという自信はあまり持てなかったが、「ノイズが多い環境で回路が誤動作していたのが、あの対策で解消されたのだなあ」と思っていた。

 そして、半年後。

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