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» 2018年10月26日 11時00分 公開

次世代パワーデバイス:高速GaNトランジスタ、最適な測定方法とは (3/3)

[Suvankar Biswas,EDN]
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重要なプロービング技術

 ここからは、高精細で正確な波形を生成するための適切なプローブ使用法および測定ポイント選択が、いかに重要かを示す。

1.入力キャパシタンスの低いプローブを使用し、グラウンド線を極力短くすること

 パッシブプローブ(Tektronixの「TPP 1000」)には、アリゲータクリップとスプリングクリップ[5]という、2種類のグラウンド接続型式が使われている(図3)。

図3:プロービング技術

 グラウンド接続リード線が長いと、1箇所でグラウンド接続し、そのグラウンドリード線が届く範囲でテストポイントを移動できる点が便利だ。ただし、リード線の各部分には分布インダクタンスが存在する。分布インダクタンスは、信号周波数が高くなるにつれてAC電流の流れを妨害するようになる。グラウンドリード線のインダクタンスは、プローブの入力キャパシタンスと相互作用し、一定の周波数でリンギングを引き起こす(式(2)参照)。このリンギングは不可避であり、振幅が徐々に減衰する正弦波状になる。グラウンドリード線が長くなると、インダクタンスが増大し、測定信号は、より低い周波数でリンギングするようになる。

 ここで取り上げる測定技術は、EPC9080ハーフブリッジ評価ボードの使用を前提とする。スイッチノード波形は図3に示した2つのポイントで測定する。「Near Point」と「Far Point」だ。Near PointはFETのスイッチノードに近接し、Far PointはPCB周辺の端子列である。測定ポイントとプローブ技術の各組み合わせで測定したスイッチノード波形(VSW)を図4に示す。

図4:プローブ技術と測定ポイント選択の影響

 図4の測定波形を見れば、測定点の選択よりもプローブ技術がきいているのは明白だ。赤と黒の波形は、わずかな減衰はあるが、ほぼ同一である。アリゲータクリップを使用した時の波形は、測定ポイントにかかわらず、不正確だ。スプリングクリップ技術を、パワーデバイス近傍の測定ポイント(Near Point)と組み合わせて使うことを推奨したい。

2.非接地高周波測定では絶縁測定システムを使用する

 差動測定は、2箇所の測定ポイント間での測定を表しますが、この用語はほとんどの場合、グラウンドを基準としないテストポイントが含まれる測定を表現するものとして使われる。以下は、差動信号測定の一般的な方法だ。

(a)2本のシングルエンドプローブおよび差動測定のためのオシロスコープ演算を使用
(b)高帯域幅、高電圧差動プローブを使用
(c)絶縁測定ソリューション[6]を使用

 オシロスコープの演算機能を使用する方法を最初に検討する。対象とするテストポイント2箇所の電圧を、2本のグラウンド基準プローブで測定する。その結果を受け、演算機能が2つの電圧波形の差動波形を生成する。差動演算波形が、疑似的な差動測定となる。

 性能に限界はあるが、この技術は周波数が比較的低く、コモンモード信号が小さい場合の測定に適している。正確な動作を得るには、両方の入力が同じスケールファクタに設定され、両方のプローブが同一モデルでよくマッチングしていなければならない。

 プローブの減衰/ゲインがわずかでも違うと、伝搬遅延および中間周波数域と高周波数域の応答の影響で測定の正確さが損なわれる。コモンモード除去比(CMRR)は、高周波数域になると極度に悪くなり、高いコモンモード信号がオシロスコープ入力に重畳することになる。

 正確な差動測定のために最も望ましい方法は、Tektronix「IsoVu」測定システムなどの高性能な絶縁式測定ソリューションを使用することだ。高コモンモード電圧と高速エッジ速度を有するハーフブリッジなどの回路において、ハイサイドのゲート‐ソース間電圧などの信号を測定することは、高周波数域で優れたCMRRがなければ不可能だ。従来の差動プローブは、数メガヘルツまでの低周波数域では比較的良好なCMRRが得られるが、その数値は、数メガヘルツを超えると大幅に劣化する。絶縁式システムならば、高周波数域で高いCMRRを得られる。

 EPC9080ボードのハイサイドのゲート-ソース間電圧(VGS1)における、オシロスコープでの測定結果と、絶縁測定システムでの測定結果の差を図5に示す。

 回路に電圧と電流が供給されると、高レベルのスイッチングノイズが発生し、測定ごとの差が拡大することになる。絶縁プローブを使用すると、その高いCMRRの効果により、取得波形がはるかにクリーンになる。

図5:ハイサイドのゲート‐ソース間電圧(VGS1)波形(雑音性環境)

 本稿では、各種のEPC eGaN FETベースのパワーコンバーターを測定する際の課題について、帯域幅、プローブを使用する際のテクニック、そして高帯域幅絶縁式プローブの適切な使用などを考察した。測定対象への要件を十分に理解するとともに、測定技術と測定手法を正しく知ることで、GaNベースの設計を、より最適化できるようになるだろう。

参考文献リスト

[1]A. Lidow, J. Strydom, M. De Rooij and D. Reusch, GaN Transistors for Efficient Power Conversion, Second Edition, Wiley, 2014.
[2]D. Reusch and J. Glaser, DC-DC Converter Handbook, Power Conversion Publications, 2015.
[3]EPC 8009 eGaN FET datasheet.
[4]EPC 2022 eGaN FET datasheet.
[5]Tektronix TPP 0500 and 1000 passive probe: Instruction.
[6]ABC of Probes: A Primer, Tektronix Inc.
[7]TIVM Series IsoVu Measurement System: Users Manual, Tektronix Inc.



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