検索
特集

リチウムイオン電池充電器に状態表示機能を付加Design Ideas

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 米Microchip Technology社の「MCP73812」は、単セルのリチウムイオン電池用充電制御ICである。同製品は、ほかの同種IC製品と同様に、充電の状態を表示する機能を備えていない。この欠点は、図1のように、ダイオードのD1、赤色LEDのD2など、数個の部品を追加するだけで改善できる。また、オプションのLED(D3)を追加することで、充電の完了を示す表示も行える。このように、D2とD3の2つのLEDを使用する構成では、常時どちらか一方のLEDを点灯した状態にすることが可能である。このことから、充電器が電源に接続されているか否かを表示できるという利点も得られる。

図1 充電状態を表すLEDを付加した充電回路
図1 充電状態を表すLEDを付加した充電回路 

 リチウムイオン電池が定電流での充電モードになると、D1(「1N4001」を使用)に流れる電流Iの値が401mAとなる。その内訳は、400mAが充電電流で、1mAが充電制御IC1の電源電流である。D1はトランジスタQ1よりも早く導通状態になり、Q1はD1の順方向電圧が450mVになるまでオフの状態を保つ。その後、Q1が導通することにより、充電状態を表す赤色LEDのD2がオンになり、充電中であることが表現される。また、この例では、オプションで充電の完了/未完了を表すD3として、緑色LEDを想定している。緑色LEDがオンする順方向電圧は2.1Vであり、赤色LEDの1.7Vよりも高い。D2のアノードとQ1のエミッタとの間の電圧は、緑色LEDをオンにする電圧よりも低く、定電流での充電モードの間、充電完了を表すD3はオフの状態に保持される。

 充電における最終サイクルは、定電圧の充電モードとなる。このとき、電池の電圧はIC1のVBAT端子の電圧である4.2Vにほぼ等しい。そのため、D1を流れる電流が15mA〜40mA程度に減少する。それに伴って、充電の完了を表すD3がオンになり、点灯中のD2と併せて2つのLEDが点灯している状態となる。

 図1ではQ1として「2N3904」を使っているが、これをほかの品種に置き換えて2つのLEDがオンになる電圧/電流の条件を確認した。Q1として「2N4401」を使用した場合には、電池の電圧が4V、電流Iが18mAの条件で両LEDがオンになった。電流Iが15mA以下になると、Q1とD2がオフになる。このとき、D3のアノードの電位は閾(しきい)値を超えており、D3は点灯した状態に保たれる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る